
試食メニューに興味津々
今回は、都内の情報経営イノベーション専門職大学(以下、iU)にて、「急速冷凍によってサプライチェーンの何が変化するか?」
を考える起点として試食会を開催しました。
参加者は、学生と大学職員や先生方です。
iUでは、学食の営業時間内に多忙な学生が利用できず、食事難民が発生しています。
実際に起きている課題を自分たちの視点と食の流通全体に関することを通じてZ世代が新しい価値を考えていくことが、
今後iUのゼミで取り扱うテーマにもなっていきます。
食べたい物を食べたいときに選べる
iUキャンパス近隣にあるのは、大手コンビニエンスストアのみで、学生さん達は食べ物を買いに行く時間的な余裕もなく、食事の確保に問題を抱えているところでした。
そして、iUの学生さんたちと同じような問題が、全国の学食や社食で起きている。
そのことを認識してもらうため、試食前に問題を共有する時間を10分程度頂きました。
現在、コンビニでもスーパーでも冷凍食品コーナーは拡大の一途です。
しかし、「冷凍=質が落ちる」のイメージが強いことも確かな事実です。
今回の試食会は、そこの認識を打ち破るための最初の一歩です。
小腹需要を満たすメニューが欲しい

試食17アイテム
事前にiUの講師の先生からご相談いただいた内容は、授業の合間に食べれるような「小腹需要を満たすメニューが欲しい」といったお話でした。
学食が食事を確保できない問題も踏まえ、ワンハンドメニューや学食には無いデザートメニューなど、
試食会当日は17アイテムを少量ずつ試食していただく事にしました。
試食会で提供するアイテムを決めるまでに試作したメニューは、倍以上となりました。
Z世代が食べるメニューとしては何が良いか?から考えることとしたためです。
アイテムの絞り込みとメニュー作り
今回の試食会では学生さんを対象としたメニュー作りとなるため、アイテム数を絞り込む優先順位は、価格が抑えられ、ある程度小腹が満たされるアイテムを優先しました。
価格を考えるうえでは、包材や容器も原価に入ります。
その中で低価格であってもクオリティーが担保でき、満足感があるものを選択しました。
試食メニューは、想定通り1アイテムを少量づつ試食してもらうスタイルで構成しました。
また、調理では、レシピを常に見直し、試作を繰り返しました。
一度作ったメニューを再現していくために記録を残し、そしてより良いものへと書き換えていくことが大事になります。
レシピが完成してからも冷凍テストでの再度見直しや、解凍後の離水の有無での見直しを繰り返し、メニュー完成まで仕上げていきました。
容器の選定
試食会を実施するにあたり、メニュー開発以外にも容器選定をはじめとした様々な検討が必要でした。
盛り付けや冷凍時に使用する容器サンプルの購入、また、適切な冷凍時間や解凍時のレンジ対応等、メニューが決定しても検討すべきことが山のようにありました。

容器選定
容器の選定では、小さなどんぶりだとしても蓋の有無だけで冷凍時間は、倍以上変わります。
解凍後のご飯の状態やパッキング時の真空度なども変更しながら、ベストなものを決めていくことになります。
また、容器によっては「電子レンジ可」となっていても耐熱範囲が判らないものも多数あります。
調理時の温度に耐えられ、急速冷凍のー35℃に耐えられる。かつ、電子レンジの再加熱に耐えられる容器を選ぶ。
これらの作業は、かなりの時間を要する作業となります。

耐熱テスト
これらが試食会でなく、商品としてECサイトや店舗にディスプレイされるとなれば、より時間をかける必要があります。
今回の試食会は、大学で行うので加熱方法もレンジとトースターに限定されています。
当フリーズラボで試食頂くのであれば、スチームコンベクションやオーブンでの加熱で良い状態を作れます。
しかし、加熱方法が限定される中で提供することは、容器選定や運ぶ方法、梱包数にも影響するので、
重要な問題と認識しておく必要があります。
適切な素材選定も、提供のカギ
試食メニューの一つに焼きそばを入れました。
麺は、数種類を購入して適したものを選定していきますが、大手スーパーなどで売られている麺は、ほぐすのに水洗いをかけると短く切れてしまいます。
通常の屋台やお店でその場で提供するのであれば問題ないことも、一旦冷凍して再加熱して提供して良い状態を保つ上では、素材の選定テストは必須となります。

焼きそば
他のアイテムでは、シンプルなおいなりさんやサンドウィッチも入れました。
おいなりさんは嗜好的な面もありますが酢やみりんのなどの配合を細かく試作をしました。
サンドウィッチでは、特に解凍後のパンの食感が、メーカーやブランドによって異なります。
食べ比べて官能試験の結果で判定していきます。
良い技術や美味しいレシピで調理し、急速冷凍して再加熱することを考慮しなければなりません。
最終的に人の口に入った時の評価を考えて、素材を選ぶ必要がありました。
まとめ
現在の市場は、企業(製造する側)が市場に投入した商品であふれています。
本来は、製造する側と消費する側の意見交換やニーズの掘り起こしの上で市場が形成されることが企業にとってもリスクを軽減できます。
それにより付加価値のある商品が提供できると考えます。
今回のiU試食会のアンケート結果等、後日談も今後お伝えしていきたいと思います。