ブライン冷凍とは?メリットや向いている食材をご紹介

ブライン冷凍イメージ
冷凍技術にはさまざまなものがあり、大別すると空冷式と液冷式となります。その中で液冷式はブライン凍結と呼ばれています。冷凍技術は数多くありますが、食材や料理によっては適しているもの、適していないものがあるのでしっかりと見極めて選ばないといけません。今回はブライン凍結に関することを紹介していきます。

ブライン凍結の特徴

ブライン凍結は、冷却した「ブライン液」の中に食品を浸けて凍結させる方法です。ブライン液は不凍液とも呼ばれ、氷点下以下でも凍らない特徴があります。そのため、マイナス35℃以下まで冷やしたとしても液体のまま使用できるのです。

一般的な冷凍技術は冷風にあてて凍結させるものが多いですが、ブライン凍結は冷風を吹き付けないで食品の凍結が出来るのです。

ブライン凍結のメリット

多くの企業でブライン凍結が導入されています。こちらでは、ブライン凍結を導入することによってどんなメリットがあるのかを紹介します。

凍結の速さ

ブライン凍結のメリットとして、凍結の速さがあります。空(空冷式)と比較すると、液体は熱伝導の速度は20倍も上回ります。このような性質があるため、ブライン凍結は、瞬間凍結の名前に相応しい速度で冷やせます。

なぜ早く冷凍しなければいけないのかというと、冷凍の場合は時間をかけた分だけ細胞破壊が行われます。食材の細胞が破壊されると旨味や鮮度などが劣化してしまうので、味も落ちてしまうのです。

食品の水分は0℃からマイナス5℃(ゼロバリア)で凍り、その温度帯を短時間で通過させることで氷結晶の成長抑制となるのです。ブライン凍結は急激に温度を下げることで細胞の破壊を防ぐことができます。

安全性が高い

基本的にブライン液は安全な食品冷凍剤として認定されている点と真空包装やパッキングして凍結するので安全性が高いです。

一般的な冷凍では食塩水や塩化カリウムなどの不凍液を冷やして用いますが、高濃度の場合は金属腐食の心配があるのでアルコールブライン液を用いるところも増えています。

安全性が高いブライン液を使用していることで、企業なども安心してブライン凍結を導入できます。ブライン液と言ってもいくつかの種類があるので、食材などに合わせてブライン液を変えるという方法もあるようです。

廃棄ロスの削減

食品を長期保存したいと考えていても、一般的な冷凍の場合、廃棄しなければいけない食材が出てきます。しかし、ブライン凍結は鮮度などをしっかり保てる冷凍技術ということもあり、廃棄ロスの削減効果が期待されています。それだけではなく、凍結時間を短縮できることによって実作業時間の人材確保や生産量増加等さまざまなコスト削減や売上拡大にも繋がっているのです。

製品によっては、冷凍焼けや冷凍ムラによって廃棄となる食材もありますが、ブライン凍結をすることで大幅に廃棄食材を減らすことができます。

ブライン凍結はカツオ漁でも用いられている

ブライン凍結は、一般的な食材などの凍結だけではなくカツオ漁でも使用されています。カツオ漁は一回の漁獲量が多いことから、大量凍結に向いているブライン凍結で鮮度を保つのです。

カツオ漁で用いられているブライン液はマイナス20℃前後の濃い塩水になるので鮮度を保ちながら、しっかり冷やすことができるのです。

ちなみに漁獲されたカツオはブライン凍結によって1分ほどで仮死状態になります。その後、約8時間かけて芯まで凍り、しっかり鮮度を保つことができるのです。

ブライン凍結に向いている食材とは?

ブライン凍結に限らず、冷凍技術には向いている食材と向いていない食材があります。こちらでは、どのような食材がブライン凍結に向いているのかを紹介します。

刺身

ブライン凍結は傷みが早い刺身などにも適しています。特にサバは鮮度維持が難しいので、一部地域以外では刺身で食べることができないのは有名です。ただ、ブライン凍結によって高鮮度を保つことで刺身などを全国に出荷することも可能となるのです。
また、冷凍に不向きとしていた絹ごし豆腐やこんにゃくなども冷凍して解凍した時の食感が保てる液冷式急速冷凍機もあり、各企業でのメインメニューや素材を考慮して導入してます。

牛肉や豚肉、鶏肉などもブライン凍結に向いていると考えられます。特に冷凍に不向きなレバーや内臓などもブライン凍結をすることで流通させることができるのです。

厚さなどによって凍結時間は変わってきますが、2cm前後の豚肉や鶏肉は10分かからずに凍結が可能です。厚さが5cm前後の場合の豚肉や鶏肉は25分程度と言われています。

牛肉の場合は同じ厚さであっても、豚肉や鶏肉と比較すると時間が若干かかる傾向にありますが冷凍方式やメーカーによっても冷凍時間やドリップの量にも差があるので検討している商品で試して導入の可否を検討されることをお勧めします。

まとめ

ブライン凍結にはさまざまなメリットがあります。刺身など鮮度を保つのが難しい食材に適している冷凍技術と考えていいでしょう。鮮度問題によって流通が難しい食材こそ、ブライン凍結を検討してみてはいかがでしょうか。ただし、しっかり自社にメリットがあるかを考えてから選ばないといけないことを覚えておきましょう。