クックチルのメリットは?デメリットも合わせてご紹介

クックチルと呼ばれる調理システムをご存じでしょうか。従来のように、調理した料理をすぐに提供するのではなく、急速冷却して保存し、提供するときに再加熱する調理法です。医療機関や教育機関などでも導入事例のあるクックチルですが、ここではメリットとデメリットをご紹介しましょう。

クックチルのメリット

さまざまな現場で導入されているのは、それなりのメリットが見込めるからです。導入することで、具体的にどのようなメリットを得られるのかが理解できれば、導入するか否かの判断材料にできるでしょう。

安全な料理を提供できる

調理後の食品に、細菌や微生物などが繁殖してしまうと、食中毒の原因となる恐れがあります。食中毒を起こしてしまうと、料理を提供した方に迷惑をかけるのはもちろん、企業としての信頼も地に堕ちてしまうのです。

細菌や微生物が繁殖しやすいのは、10~60度前後だといわれています。この温度帯で長く調理後の食品を保管してしまうと、食中毒の発生リスクが高まってしまうのです。クックチルでは、急速冷却を行うことでこの温度帯をスピーディに通過できます。

提供前に再加熱するだけであるため、料理に直接手を触れることがなく、食中毒リスクを軽減できます。

業務効率化が可能

一度に食材を大量に購入し、計画調理ができます。クックチルを導入すれば、チルドした食品を最大5日間保存できるため、あらかじめ料理を作っておけるのです。

あとは提供するタイミングで再加熱するだけであるため、保存してある期間には他の業務を進められます。新たな料理の開発に時間を費やしたり、別の調理を行ったりといったことも可能になるのです。

コスト削減ができる

従来のように、料理を作ってすぐ提供するスタイルでは、どうしてもある程度のスタッフが必要です。熟練の調理スタッフはもちろん、盛り付けや配膳を行う人員も必要になるため、人件費が高騰しがちなのです。

一方、クックチルを導入すれば、調理の手間を削減できるため、人員の数も減らせます。あらかじめ大量に作って保存し、提供する前に加熱するだけであるため、熟練の調理スタッフも必要ありません。忙しくなる時間帯や、休日などもアルバイトやパートスタッフで対応できるため、人件費の削減が可能です。

クックチルのデメリット

いくつものメリットがあるクックチルですが、デメリットがあることも覚えておきましょう。メリットが魅力的ゆえに、そこばかりに目が向いてしまいますが、デメリットも覚えておかないと、導入後に後悔してしまうかもしれません。

導入コストの問題

クックチルのシステムを導入するには、ブラストチラーと呼ばれる専用機器が必要です。ブラストチラーは、食品の急速冷却を行うための設備で、クックチルシステムの中核をなすものといっても過言ではありません。

メーカーや製品によってブラストチラーの価格は異なりますが、大容量のものでは1000万円をオーバーすることもあります。しかも、個人での設置は難しいため業者に依頼せねばならず、設置工事費が発生します。

ブラストチラーは中古品もあるため、導入コストを少しでも引き下げたいのなら、中古も検討してみましょう。厨房機器を扱う専門店や、中古厨房機器販売店で扱われていることもあります。導入してすぐ壊れないよう、コンディションをしっかり確認してから購入しましょう。

スペースが必要

ブラストチラーを設置するためのスペースを用意しなくてはなりません。もし、厨房がいっぱいでスペースがまったくない、といった状況ではブラストチラーを設置できない可能性があります。

特に、大容量サイズのブラストチラーとなれば、それなりのスペースが求められます。導入を検討しているのなら、まずはスペースを確保できるかどうかや床の耐荷重を確認しましょう。

ブラストチラーの設置場所だけでなく、チルドした食品の保管スペースも用意しなくてはなりません。場合によっては、厨房全体の設計を見直す必要もありますのでトータルで依頼できる業者に相談することをお勧めします。

ほかのシステムも検討する

クックチル以外にも、業務効率化や安全性の向上が可能となる調理システムは存在します。クックチルを、さらに機能的かつ安全性を高めたニュークックチルは、福祉施設や医療施設などでよく導入されています。ニュークックチルの場合は、包材のコストを導入前に検討しておくことをお勧めします。

急速凍結により、最大8週間もの食品保存が可能になるクックフリーズも、検討してみてはいかがでしょうか。食品の長期保存が可能となるため、クックチル以上の業務効率化が可能になるかもしれません。

まとめ

クックチルにはたくさんのメリットがある一方で、デメリットがあるのも事実です。どちらもきちんと理解し、現実的に導入が可能かどうかも考慮しながら判断しましょう。クックチル以外の、ニュークックチルやクックフリーズなどの調理システムにも、ぜひ目を向けてください。