この記事でわかること
さまざまな施設などで提供する料理に欠かせないもの、それがクックチルやクックフリーズです。クックチルを導入することで多くのメリットを得ることができます。今回はクックチルがどのようなものなのか、メリットなどにスポットをあてて紹介します。
クックチルについて
クックチルは新料理システムの調理・保存法のひとつです。簡単に言うと調理した料理を冷凍保存して提供する時間に再加熱するもの。こちらではクックチルが注目される理由について見ていきます。
クックチルの定義とは
クックチルは加熱調理後90分以内に急速冷却をして保管されているものです。中心の温度が3℃以下まで急速に冷やし、その後は3℃以内で保管をします。更に低い温度―18℃以下で冷凍とする場合は、冷凍庫に入れて冷凍保管となります。冷蔵の場合、保管しておける期間は初めに調理をした日から提供する日までを含めて5日間となっています。5日間の提供期間があることから、さまざまな施設でクックチルは重宝されています。
クックチルの衛生面とは
冷却専用の機械を使って急速冷却するため、細菌が増殖しにくくなっています。細菌が増殖しやすいのは60℃から10℃の温度帯です。しかし、クックチルを使うことで、その温度帯の通過時間を短縮することができます。更に一気に冷凍したい食材の場合は、クックフリーズで急速冷凍する方法もあるので扱う商品で選択することになります。
細菌が増殖する暇もなく、その温度帯を通過するので衛生面では大きなメリットがあります。
急速冷却は作り置きではない
冷凍保存はご家庭で行われているような「作り置き」ではありません。
その証拠に急速冷凍した料理も再加熱後は調理後と変わらない味を維持しています。ただの作り置きであればここまでの味を維持はできません。
さらに、急速冷凍を行うクックフリーズであれば、クックチルよりもさらに利便性が高くなります。なぜなら、クックチルで可能な食品の保存期間よりも長い期間に亘って品質を落とすことなく保存することができるからです。
クックチル、そしてクックフリーズは、安全に料理を保管できるだけではなく、美味しさも維持できる優れものです。
フードロスの削減につながる
クックチル、クックフリーズの導入は人件費のコスト削減につながります。例えば病院の場合はクックチルで予め料理を瞬間冷却、またはクックフリーズで急速冷凍することで保存することができます。料理のたびに仕込みをする必要がなく、いつでも美味しい料理提供が可能です。
クックフチルは調理後の保存期間も5日間、さらに、クックフリーズなら8週間と長いため、食材を無駄にすることもありません。食材の無駄が減るということは廃棄量も減るということです。瞬間冷却を使うことによって、さまざまな面でコストを抑えることが可能となります。
飲食店などSDG’sに取り組む中でフードロスに悩んでいるところも少なくありません。そんなところこそ、クックチル・クックフリーズを検討してみてください。
品質が安定する
飲食店などにありがちですが、提供するスタッフによって味が変わることがあります。同じ調理を同一の方が大量に行い保存できるので一定の味を求められる場においてはメリットがあります。
クックチル、クックフリーズを使うことによって、同じ味を大量保存できるので味の変化を感じさせずに済むのです。品質の安定さはクックチル・クックフリーズならではと言ってもいいでしょう。
クックチルの注意点
クックチルはさまざまなメリットがあることから導入がおすすめされています。しかし、注意点もあります。こちらではクックチルの注意点について見ていきましょう。
設置場所が必要
クックチルで急速冷却するためには、ブラストチラーという専用機器が必要です。調理数によって設置スペースが異なりますが、大量調理となればそれなりに大きなブラストチラーを導入するのが望ましいです。このため、設置スペースの確保が必要になります。
また、クックチルの導入によってさらなる成果をあげるにはオペレーション要員の確保も行った方が良いでしょう。
食材によって合わないものもある
クックチルの瞬間冷却とクックフリーズの瞬間冷却はすべての料理に使用することはできます。ただ、すべての料理が相性が良いというわけではありません。
急速冷却するので水分を多く含む食材の歯ごたえが変化するなど、相性の良し悪しがあるのです。一部の食品では、再加熱で同じ味を再現するのは難しいものもあるので導入前にデモ機等でテストされると良いでしょう。
料理との相性を考えて利用することで、クックチル、クックフリーズを最大限活用することが可能です。
レシピ作成などが必要
調理工程をクックチル、またはクックフリーズに置き換えた場合、レシピ作成や調理技術などを習得する必要があります。
安全性や大量調理などに定評はありますが、特に、クックチルをきちんと使いこなすためには、温度管理をしっかり行うようにしましょう。導入前に、クックチルについてスタッフが取り扱いなどについて学ぶ期間を設けることや、クックチル導入のための体制を予め整えておくとスムーズに進めることができるでしょう。
まとめ
クックチルとクックフリーズにはさまざまなメリットがあります。導入場所によって異なるメリットがあるので、導入施設に合うかどうかを見極めることが大切です。各施設や飲食店などに導入する場合は複数のメリットを得られるので前向きに検討してみてはいかがでしょうか。