クックチルの調理方法や導入方法

病院や介護施設など、大量の食事が必要となる施設で導入されているクックチル。一度に大量の食事を作れるだけでなく、急速冷却することで保存ができ、尚且つ味も損ねないと何拍子もそろった調理方法です。ここでは、具体的なクックチルの調理方法や、導入する方法などについてまとめました。

クックチルの調理方法

従来では、食事を提供するタイミングに合わせて食材を下処理し、調理を行っていました。クックチルは、こうした従来の調理方法とはプロセスが大きく異なります。詳しく見ていきましょう。

食材の仕入れと下処理

クックチルは、大量の調理に向いた調理法として知られています。まず調理前の下処理を行います。ここまでは従来の調理方法と同じです。クックチルの場合は、食材を保存できる期間があるので一度に大量仕入れをすることができ、仕入価格や手間を抑制できることです。下処理ができたら加熱調理を行っていきます。

加熱調理

下処理の終わった食材を、調理します。野菜炒めなら、カットした野菜や肉などにしっかりと火を通して炒め、揚げ物なら衣をつけて油で揚げていきます。調理には、再加熱で2度、熱が入ることも考慮しておくことが必要です。ここでも保存期間が5日間あるので小ロッド、多品種を作らず、数種類を大量調理して保存期間内に利用することが可能になります。

従来なら、このあとお皿などに盛り付けを行い、すぐ提供するのですが、クックチルでは異なります。加熱調理の終わった料理は、急速冷却のプロセスに進みます。クックチルと同じく、新しい調理システムとして注目を集めているクックフリーズの場合は、加熱調理が終わったあと、急速冷凍を行います。

急速冷却

クックチルで行われている急速冷却とは、できあがった料理を急速に冷却することです。ブラストチラーと呼ばれる専用の厨房機器を用い、3度以下の温度まで一気に引き下げます。こうすることで、食材の食感や旨味、風味などを飛ばすことなく、閉じ込めることが可能となるのです。ポイントは、3度以下なので冷凍ではない点が後記のクックフリーズとの大きな違いになります。
クックフリーズの場合は、マイナス35℃のブライン液に浸し、中心温度をマイナス温度帯以下まで下げます。急速冷却ではなく、急速冷凍で行います。一気にマイナス以下の温度に下げることで、細菌の繁殖を防ぐ効果と予めパッキングされているのでそのまま冷凍庫保管や出荷に回せる効果も期待できます。

再加熱

急速冷却を行った料理は、提供する時まで適温で保存されます。クックチルでは、最大5日間まで保存ができるのです。提供するときには、スティームコンベクションと呼ばれる機器を用いて再加熱が行われます。

なお、急速冷却を行うクックチルに対し、急速冷凍を行うクックフリーズは、最大保存期間が8週間と大幅に増えます。このため、再加熱のタイミングはクックチルよりもクックフリーズの方が自由度が高いです。

クックチルを導入するには?

導入にあたり、まずはクックチルの基本的な知識やメリット、デメリットを知ることから始めましょう。導入の意思が固まったら、メーカーや販売店に現場及びオペレーションの確認をしてもらいます。その上で最適な器具や人の配置を考慮したプランを検討し、その後必要な厨房機器の購入契約をします。

設置場所の確保

クックチルシステムを導入するには、ブラストチラーやリヒートウォーマーキャビネットといった、専用の厨房機器が必要です。これらの機器はサイズが大きいため、設置する場所を確保しなくてはなりません。

場合によっては、既存の厨房機器を配置換えしたり、スペースを広げる工事などが必要となります。

機器を購入

設置する場所の確保ができれば、いよいよ機器を購入契約します。厨房機器を専門に扱う業者なら、クックチルとして使用するブラストチラーやリヒートウォーマーキャビネットやクックフリーズで使用する急速冷凍装置なども扱っています。また、搬入経路や大型機器の場合は、分解搬入もあるので専門業者をご利用されることをお勧めします。

製品によって、標準機能や大きさ、容量などが異なるため、事前にしっかり確認しておきましょう。機器そのものの金額はもちろん、設置にかかる費用がいくらになるかも購入契約前にチェックしてください。

安く導入する方法

クックチルなどの新しい調理システムをできるだけお値打ちに導入したい、と考えている方も中にはいるかもしれません。ここでは、そのような方に向けて安く導入するポイントをいくつかご紹介します。

投資全体の構成比で考える

ブラストチラーやリヒートウォーマーキャビネットなどは、新品で購入すると数千万円の出費が必要です。安いものでも500万円程度、ものによっては1500万円を超えるものもあります。クックフリーズでも同様です。
製品単体の金額も気になるところですが数十年に1回の投資となりますので投資額全体の構成比で抑制すべきポイント考える方が良いと思います。

建築改修費用・設計費用・厨房機器(ブラストチラーやリキッドフリーザー)・空調換気設備費・電気工事費など構成比の大きいところほどコストダウンの幅も大きいと考えて交渉してみてください。

改修工事は複数社で見積もりを

クックチルの専用機器を設置する場所がない場合には、厨房の拡張工事や既存機器の配置換えなどを行う必要があります。業者によって工事価格は大きく異なるため、必ず3社以上からは見積もりをとりましょう。複数社で見積もりをとれば、安く工事してくれるところとそうでない会社を見極められます。

まとめ

クックチルを導入するのなら、調理方法の流れやメリット、デメリットを理解してからにしましょう。また、金額だけでなく導入後のフォローや調理面での指導も含め検討される良いです。場合によっては、クックチルではなくクックフリーズの方がマッチする可能性もあります。ここでご紹介した、導入するうえで必要な機器や、安く導入する方法などについてもぜひ覚えておきましょう。