調理した食品を急速冷却し、提供するタイミングで加熱する調理法をクックチルと呼びます。調理した食品の保存が可能で、業務の効率化も図れるとさまざまな施設で導入されています。たくさんのメリットがあるのは事実ですが、クックチルにはデメリットがあることも理解しておきましょう。
クックチルのデメリットとは
クックチルは、医療機関や学校給食センターなど、さまざまな場所で導入されています。今現在、クックチルの導入を検討されている方もいるかもしれませんが、それならなおさらメリットだけでなくデメリットも理解しなくてはなりません。
食材によっては品質を維持できない
すべての食材を、クックチルで調理できるわけではありません。正確には、調理はできますが冷却以前の食感や味を損ねてしまう恐れがあるのです。
クックチルは、一度調理した食品を急速に冷却し、それを再び加熱して提供する調理法です。そのため、天ぷらや唐揚げなどの揚げ物、焼き魚やステーキのような焼き物とはあまり相性がよくありません。
揚げ物の場合、冷却したものを再び加熱することで、衣がしっとりとしてしまいます。焼き物も、一度加熱したものにもう一度熱を入れるため、食感を損ねてしまう恐れがあるので解凍時に工夫する必要があります。
一定のスペースが必要
クックチルは、ブラストチラーと呼ばれる専用の機械を用いて急速冷却を行っています。ブラストチラーにも、さまざまな容量の製品がありますが、調理する量が多くなればなるほど、大きなものを導入しなくてはなりません。
サイズの大きなものを導入するとなれば、設置するためにそれなりのスペースが必要です。キッチンの限られた空間の中で、設置のためのスペースを確保しなくてはならなくなります。搬入経路も建具を外して入ればまだ良いですが建具も枠ごと変えるとなると建築工事となってきます。
また、急速冷却をした料理は、提供するまで保管しなくてはなりません。低温で保管するためのプレハブ冷蔵庫のスペースも確保せねばならず、さらに空間を圧迫してしまいます。
導入コストがかかる
クックチルを導入するにあたり、どれくらいの費用がかかるのかは気になるところでしょう。システムを導入するには、まず急速冷却を行うためのブラストチラーの購入費以外にも当然ですが冷媒配管工事費や既存の機器の処分費なども考慮しなくてはなりません。。
ブラストチラーはさまざまな製品がリリースされていますが、価格はメーカーや商品によってさまざまです。ただ、特殊な厨房設備であるため、高価格帯の製品が多いのが特徴です。
小さなサイズのものでも、300万円を超える価格の製品が多くを占めています。サイズの大きなものともなれば、1000万円を超え大型でセントラルキッチンに入れるコンベアタイプとなると更に一桁プラスされることも珍しくありません。大型サイズの場合なら、設置工事も必要となるため、製品以外にも費用がかかります。
現在では、ブラストチラーの中古品も販売されているため、コストを抑えたいのなら中古も検討してみましょう。中古品は安いですが、メンテナンスや修理費がかかることも考えられるため、そこは注意してください。
導入すべきか否か
クックチルを導入すべきかどうかで頭を悩ませている方もいるかもしれません。クックチルは素晴らしいシステムですが、メリットもあればデメリットもあります。どちらも比較しながら、じっくり検討してみましょう。
メリットのほうが大きい
デメリットはあるものの、クックチルを導入すればさまざまなメリットが得られます。しかも、トータルで考えると、デメリットよりもメリットの方が大きいのです。
調理した食品を急速冷却するため、細菌や微生物の繁殖を防ぎ、5日間ほどの保存もできます。出来上がった料理を保存しておき、提供するタイミングで再加熱するだけであるため、業務の効率化も図れます。
手間を大幅に省けるため、人件費の節約にも効果が期待でき、トータルでのコスト削減につながるのもメリットです。このように、デメリットよりもメリットのほうが大きいため、さまざまな現場で導入されているのです。
ほかのシステムも検討する
新たな調理システムとして注目を集めているのは、クックチルだけではありません。クックチルの進化版ともいえるニュークックチルは、冷却した食品を器に盛り付けて保存するため、クックチル以上の業務効率化が期待できます。
また、約8週間にもおよぶ長期保存が可能となるクックフリーズと呼ばれる方法もあります。マイナス35度で急速冷却を行うことで、長期保存を可能としているのです。
クックチルは素晴らしいシステムですが、どのような現場にもマッチするとは限りません。場合によっては、ニュークックチルやクックフリーズ、従来の調理法の方が適していることもあります。そうしたことも考えながら、導入を検討してみましょう。
まとめ
基本的には、デメリットよりもメリットのほうが大きいクックチル。更に進化したニュークックチルやクックフリーズなど導入を検討しているのなら、どちらもしっかり検討してから決断しましょう。導入の目的や提供する料理の量、ほかの調理システムなども考慮しながら決めるのがポイントです。
先ずは、食感や味の変化など再現性を確認することは、当然ですが一度のデモンストレーションだけでなく実際の1回の生産量や連続稼働での時間当たり生産量も企業としては、重要なポイントになりますのでアイドルタイムなども計測しておいた方が良いと思います。