食品廃棄問題とSDGsに基づく改善に向けた取り組みについて

食品廃棄
国内で生産される食品のうち3分の1を廃棄すると言われています。食品が豊かにある日本に限らず先進国に多い特徴ですが、SDGsの目標達成のためにはフードロスの削減を目指さなくてはなりません。ここでは食品廃棄の問題とSDGsに基づく改善の取り組み方を解説します。

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の達成のために

国連加盟国と共に世界中で取り組んでいるSDGsには食品廃棄に関する目標があり、12の「つくる責任 つかう責任」に含まれています。まずは食品ロスの現状を説明します。

食品廃棄の原因

食品ロスとは簡単に言えば食べずに捨ててしまう食品のことです。発生する原因には、

・飲食店や小売店での売れ残り
・消費期限、賞味期限が切れた
・家庭での食材の余剰、食べ残し

などがあります。

世界での食品ロス

先進国は開発途上国の倍以上のフードロスを出していると言われます。人口が増えるほど多くなる傾向にあり、国連での議題にもあがるほど世界的に深刻な問題です。

SDGsの目標の中にも含まれており、製造する食品メーカー側だけでなく使う側の個人も一緒に世界全体で食品ロスを減少させることを目指しています。

ちなみに先進国では個人が購入したあとの消費の段階でのロスが多く、開発途上国では消費の段階でのロスは少なくなっています。しかし保存技術が低いなどの理由から消費より前の段階で捨てられる量が多い状態にあるのです。

日本でのフードロス

日本の食品廃棄量は世界一と言われています。食べ物の廃棄には処分にコストがかかり、そのためだけに使われるエネルギーも無駄なものです。食品ロスは焼却処分するため、二酸化炭素などの発生や焼却後の灰の埋め立てで、環境への負荷もかかってしまいます。

現状を把握し何をすれば良いかを知るには、SDGsを利用すると分かりやすいです。特に食品企業では経営の中にSDGsを取り入れると方針が分かりやすく、対策がスムーズに立てられます。

食品産業で行える食品ロス削減

海外の食品会社ではあらゆる取り組みを行っており、例えば

・外食での食べ残しは持ち帰る
・店舗で消費しきれなかった食品は寄付する
・賞味期限や消費期限の近い食品を低価格で売る
・余った食材を入れる冷蔵庫があり必要な人が使える

などがあります。これらを導入して行う方法もありますが、日本の食品企業が行っている以下の方法を取り入れても良いです。

残り物や期限間近の食品を販売する仕組み

飲食店や小売店で残った食品をプラットホームに掲載し、欲しい人に購入し渡すという仕組みがあります。登録しておけばインターネット上に簡単に投稿して購入者を募れるため、日々の業務の妨げにならず便利です。

その他には賞味期限の近づいた食品や季節限定の食品などを低価格で販売できる通販サイトがあります。これまでは食品メーカーで処分されていた製品を販売できるため食品ロスを減らせ、購入する側も期限が短いとは言えお得に購入できるためどちらにもメリットが存在します。

食品の保存方法を変える

食品の保存方法に急速冷凍を取り入れると新鮮な状態で長期保存が叶うため、食品ロスの減少ができます。急速冷凍は凍らせるときに細胞膜を傷つけず、解凍しても旨味の流出を防げるからです。

飲食店で導入すると、メニュー数が多くても食材のストックがしやすく、注文が入らなくても翌営業日以降に保存できます。生鮮食品やできあがった料理など、日持ちのしない食べ物もより長い保存期間が可能です。

実際に生牡蠣やフグを扱っていたお店のロスが大幅に減少した例もあるので、急速冷凍機の導入・設置もSDGsの達成につながります。

個人でできる食品ロス削減

食品ロスの約半分は家庭から出ていることを普段から意識して、無駄を出さない生活を心がけることがおすすめです。個人が取り組みやすい対策を紹介します。

冷蔵庫の内容を見てから買い物へ

傷みやすい食品のストックは冷蔵庫を使いますが、冷蔵庫にどれだけ入っており期限内に使いきれるか把握する習慣をつけることです。常に冷蔵庫の中にある程度隙間があり、詰め込んだ状態にし続けないことも中身をチェックしやすくなる上に、冷蔵庫内も冷えやすくなって節電にも役立ちます。

注文しすぎない

外食に出かけたときは必要以上に注文せず、食べられる量だけを心がけます。初めて出かける店舗で量が多そうと思えば控えめのオーダーをして足りなければ追加するなどの工夫で、食品廃棄量をの減少に協力ができます。

まとめ

SDGsの目標の中には食品メーカーの「つくる責任」と消費者の「つかう責任」が掲げてあります。日本は世界の中でも食品ロスが多い国のため、政府を初め食品メーカーや個人も食品廃棄減少に協力してできることから進めます。

具体的には企業ではこれまでの食材保存方法を見直す、個人では食べ残しせず買いすぎないことに気を付ける方法などを行います。