仕入れても時短で在庫と品質が気になる
日々、メディアで報道される内容は、飲食店の休業や時短営業、酒類の提供に関して時間を割いています。
緊急事態宣言の発出も解除も急な話で食材や酒類の仕入れに翻弄される飲食業界です。
仕入れて冷蔵や冷凍で保管できるものは良いとしても賞味期限や冷凍焼けした肉を提供することはできないと已む無く廃棄したり、賄い食になる。
そもそも客足の戻りは、予測できない中で仕入れるのだから気が気でない。
今回は、冷凍テストの一部をご覧ください。マイナス35℃の急速冷凍とマイナス18度の冷凍庫での緩慢冷凍で確認してみた。
写真の左、マイナス35℃で30分で急速冷凍した豚ロース、右は、同じ豚ロールをマイナス18℃の冷凍庫で12時間かけて凍らせたものです。
どちらも硬く凍り付いた状態ですが見た目は、大きく差があります。
急速冷凍と緩慢冷凍の差は、食感と味に現れる
そもそもドリップとは、何か?スーパーで売られている中でも肉や魚でトレーを傾けるとドリップと言われる血のような液体をドリップと言ってます。
肉などに含まれる、水分やうま味成分が抜け出たものになります。
なぜ?抜け出るのか?
それは、冷凍時に氷の結晶が細胞壁を破壊して気づつけることで解凍時に流れ出てくるためです。
冷凍するときも周りから凍り、解凍する際も当然、周りから溶け始めるのでこの温度差も一つの要因です。
0バリアを早く通過させる冷凍
食材の大きさにもよりますが塊肉などは、表面と芯温に差が生じます。
0℃からマイナス5℃の0バリアと呼ばれるこの温度帯を如何に早く通過させるかでドリップの量は大きく変わります。
上の写真は、共に牛ももロース400gを急速冷凍と緩慢冷凍で冷凍し、同じ条件の流水解凍で解党した写真です。
右の写真が急速冷凍の肉をカットした写真になります。
ドリップの量は、0バリアを早く通過する急速冷凍機では、ほぼ出ないのに対して緩慢冷凍では、2.5gのドリップがでました。
緩慢冷凍では、氷を生成する時間が長く結晶が大きいために細胞壁を傷つけますが急速冷凍機は、結晶が大きくなる前に凍結してしまうのでドリップがほとんど出ない結果となります。
より良い状態に食材を保つことが冷凍の目的ですが同じ冷凍でも差があることを知っておきましょう。
食感の差・味の決め手
料理は、五感で楽しむものです。見た目の目から入る情報と口に入れた季の味、嚙んだ時の食感など人の感じ方は様々です。
ステーキやハンバーグなどの味の決め手は、グレイビーソース。
そこに欠かせないのが焼いたときに出るの肉汁となります。
先ほどの緩慢冷凍と急速冷凍の肉では、焼いたときに出る肉汁の量にも差が出ます。
食感も緩慢冷凍の方は、パサついた感じを受けるでしょう。
噛み応えも硬さを感じ、急速冷凍した肉の方が柔らかく感じると思います。
材料の組み合わせ、調理方法は調理をされる方の技術にゆだねられますが素材を殺さない保存も調理には欠かせないものです。
飲食業においておいしい料理を提供することが本来の目的で保存や冷凍は、その過程の一部となってます。
右の写真のプレートを出されてどう感じるか?千差万別でしょうが全てが調理済みの冷凍品と感じる方が居るか?
五感を研ぎ澄まして食さないと判断できない時代になってます。
材料として冷凍するか?調理品として凍らせるか?用途も無限大ですが今後ますますフードロスを減らすうえでも冷凍は進化していくでしょう。