近年、さまざまな冷凍食品が販売されています。以前と比較しても冷凍食品の使い勝手は良くなっています。これはIQF冷凍がされているからです。今回はIQFの特徴やメリットなどについて紹介していきます。
IQFとは
IQFは「Individual Quick Frozen」の略です。要約すると個別に急速冷凍するという意味になります。スーパーなどで販売されている冷凍食品を見ると2つの種類があることに気づきませんか?
1つは冷凍されて商品同士がくっついているものです。肉などの冷凍食品に袋詰めされたものを一気に冷凍したものがあります。これは意外と消費者にとっては使いづらかったりするものです。
なぜなら、冷凍された肉などを一気に使う家庭は珍しいからです。よほどの大家族ではない限り、1kgなどを1回で使いきることはないでしょう。つまり、使う時に肉同士がくっついてしまっているので必要な分だけを取るというものが難しいのです。
しかし、IQFによって個別冷凍されたものであれば肉同士がくっついていることはありません。使いたい分をすぐに取ることができるので便利なのです。
IQFのメリット
IQFにはいくつものメリットがあります。どのようなメリットがあるのかについて見ていきます。IQFされた冷凍食品を購入するべきか否かを悩んでいる人は参考にしてみてください。
使いたい分だけ使える
先述したように、個別冷凍されたものであれば使いたい分だけ使うことができます。家庭で使う場合、お店で使う場合、どちらにとっても使いたい分だけ使えるのはメリットと言ってもいいでしょう。
使いたい分だけ使うということで、食品ロスを減らすことも可能です。食品ロスに対するメリットは一般家庭だけではなく、飲食店を経営している人の方が大きいと考えられます。
食品へのダメージが減る
例え冷凍をするためであっても、冷凍にかける時間が長くなればなるほど食品へのダメージが増えます。せっかくの新鮮な食材も冷凍によってダメージを与えてしまうと意味がありません。
しかし、IQF凍結のように瞬間冷凍をすることで食品へのダメージも最小限に抑えることができます。冷凍に欠ける時間が短いからこそ解凍した時に限りなく本来の状態に近い状態にすることができます。
そのため、食品状態を維持しながら冷凍することで長期間長持ちさせることができるのです。
手間が減る
IQF凍結によって使いたい分だけ使えることで、発注などの手間を減らすことができます。使いたい分だけということで細かな食品管理も可能となるからです。
早く凍る
一般的な冷凍方法だと、まとめて凍らせるために時間がかかります。しかし、IQF凍結の場合は1個ずつ凍らせるため凍結までの時間が最小限に抑えられるのです。1つずつ冷凍するからこそ、しっかりと各食材の冷凍できます。
IQF凍結の注意点とは
IQF凍結はメリットばかりに思えるかもしれません。しかし、いくつかのデメリットもあるのです。こちらではIQF凍結ならではの注意点について紹介します。
乾燥しやすい
個別に凍結されていることで、風通しが良い状態となっています。つまり、空気が入りやすいのです。凍結していれば乾燥はしないと思われがちですが、凍結状態でも乾燥はします。
例えば、冷凍された魚などが乾燥しているとそれだけで商品価値が下がってしまうのです。乾燥することで食材の味が落ちてしまい、お店などによってはお客さんに提供する価値さえもなくなると言われています。
冷凍食材に対して、もっとも注意しなければいけないのは乾燥と考えてもいいでしょう。
冷凍焼けしやすい
IQF凍結した食材はまとめて冷凍したものと比較すると、冷凍焼けを起こしやすい特徴があります。冷凍焼けすることで食材の風味が落ちてしまうだけではなく、見た目も食欲を落とすようなものになってしまいます。特に魚の切り身などの見た目に関しては、解凍した時に分かるので消費者にとっては見分けるのは難しいでしょう。特に油脂が酸化することで風味だけではなく食感も落ちるため、不快なものになってしまいます。
冷凍焼けした食材は飲食店によっては廃棄となることもあるので気をつけましょう。
霜がつきやすい
水を含んでいる食材のIQF凍結を行うことで霜が付着しやすくなってしまいます。これは、先述した乾燥によるものと考えられます。冷凍中に空気中の水蒸気が一緒に冷やされることで霜がついてしまいます。
霜がついてしまうと、解凍時に食材が水浸しになることもあります。そうなると、食材の品質が落ちてしまうので気を付けなければいけません。
ただし、製品の周りを氷で包んで保護するグレーズ処理や、空気が入らないように真空包装をすることで、こうした品質劣化をある程度防ぐことができます。
まとめ
IQF凍結にはさまざまな特徴があります。いくつかのデメリットはありますが、総合的に見るとメリットの方が大きいのではないでしょうか。デメリットに関しては、扱い方などでカバーできるものが多いからです。乾燥や冷凍焼けも扱いに気をつけることで確実とは言えませんが防ぐことができます。導入を検討している人はメリットとデメリットを比較して考えてみてください。