就労継続支援施設やデイサービスなどの福祉施設においては、利用者の方に食事を提供しているところがたくさんあります。食事を提供することで、利用者への支援を充実させることが可能となりますが、コストがかかるデメリットもあります。そこで注目されているのが、食事提供加算と呼ばれる制度です。
食事提供加算とは
就労継続支援施設やデイサービス施設などにおいて、利用者さんに食事を提供する体制が整っている場合に利用できる制度です。この制度を利用すれば、食事の提供に必要となる人件費の一部を支援してもらえます。
通常、これらの施設で利用者さんへ食事を提供するには、調理や盛り付け、配膳などのスタッフを用意しなくてはなりません。採用コストや教育コストなどがかかるのはもちろん、継続して雇用し続ける人的コストが発生します。
人件費を一定額支給してもらえば、人的コストを軽減でき、利用者さんたちに安く食事が提供できます。食事提供加算はそのための制度なのです。
食事提供加算のメリット
「食事提供加算は利用者さんにしかメリットがないの?」と思った方もいるかもしれません。しかし、実際には施設運営側にとっても大きなメリットがあります。以下、食事提供加算を受けるメリットをまとめました。
コストを軽減できる
福祉や医療に関連する業界だけでなく、あらゆる業界において人件費を抑えることの重要性は理解されています。あらゆるコストの中で、人件費がもっとも大きな負担となることが多いからです。
食事提供加算を受けられれば、もっとも大きくのしかかる人的コストを軽減できるメリットがあります。あくまで、食事提供に携わるスタッフの人件費を一定額支給してもらえる程度の支援ですが、受けるのと受けないのとではトータルでのコストが大きく違ってきます。
調理に関わるスタッフの人件費を削減できれば、その分ほかのサービスに力を入れることも可能です。結果的に、利用者さんたちの満足度を向上させることにもつながります。
利用者さんの満足度向上
デイサービスや就労継続支援施設で、食事の提供を行っている所はたくさんあります。利用者にとって、食事を提供してもらえるのは嬉しいものの、費用が大きな負担となることも少なくありません。
施設が食事提供加算を受けていれば、人的コストを削減できるため、利用者さんたちに安く食事の提供ができます。利用者さんたちの経済的負担を少なくできるため、トータルでの満足度向上につながると考えられます。
食事提供加算を受けられる調理法
施設側にも、利用者さんたちにも大きなメリットのある食事提供加算ですが、無条件で制度を利用できるわけではありません。食事提供加算を受けるには、施設内で調理を行う、もしくは規定の調理法で食事を作り提供する必要があります。以下、食事提供加算を受けられる調理法をまとめました。
クックチル
大量に用意した食材で、一度にたくさんの料理を作り、急速冷却して適温保存する調理法です。提供する前に再加熱を行うため、たくさんの食事をシステマチックに効率よく提供できるシステムです。
器へ盛り付けた状態で冷却、保存を行うニュークックチルと呼ばれるシステムもあります。こちらは、すでにさまざまな福祉や医療の施設で導入されています。
クックフリーズ
仕組みとしては、クックチルと似ています。クックフリーズでも、クックチル同様事前に調理した料理を保存できる状態に処理をして、提供する前に再加熱をします。
クックチルとの大きな違いは、急速冷却ではなく完全に冷凍してしまうことです。クックチルでは3度以下の冷蔵で保存しますが、クックフリーズは-18度以下の冷凍で保存をします。そのため、クックチルより保存期間が長くなることが最大のメリットとなります。
真空調理
主に医療施設などで導入されている調理法のひとつです。下処理をした食材を真空パックによって保存し、提供する前に加圧調理が行われます。
真空パックに入ったままの状態で加圧調理を行うため、スタッフの手がまったく触れないのが大きなポイントです。そのため、食材を衛生的に保つことができ、食の安全性を高められるメリットがあります。
クックサーブ
下処理や調理、盛り付け、提供などをその都度行う方法です。従来から、さまざまな業界で導入されてきた代表的な調理法と言えます。
施設で直接調理して提供するときに採用されることの多い調理法です。仕上がりにムラが出やすい、人員を多く確保する必要があるなど、クリアすべき問題点もたくさんあります。
まとめ
食事提供加算を受けることで、施設運営側も利用者さんも、さまざまなメリットが得られます。まだ制度を利用していないのなら、これを機会に検討してみてはいかがでしょうか。新たな調理法を導入することでも、さまざまなメリットが得られるはずです。