この記事でわかること
入院設備のある病院では、患者さんに食事も提供しなくてはなりません。病院によって、どのような方法で食事を提供しているかは異なりますが、近年では新たな調理法の導入病院が増えてきました。ここでは、医療機関で導入されている調理法や、注目を集めているニュークックチルについてご紹介します。
医療機関で導入されている調理法
さまざまな調理法がありますが、医療機関や介護施設などで主に取り入れられている調理法として、クックサーブやクックチル、ニュークックチル・クックフリーズなどが挙げられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
クックサーブ
病院内で調理を行い、患者さんに食事を提供する方法です。従来から行われてきた調理法で、専属の厨房スタッフがその都度調理を行うのが特徴です。
完成した料理をすぐに提供できるのが大きなメリット。調理スタッフの手により、個性的なメニューに仕上げやすいのも、クックサーブの特徴です。ただ、その都度調理を行う方法のため、提供できる数に限りがある、味にばらつきが出やすいなどのデメリットもあります。
クックチル
クックチルは、医療や介護施設など、たくさんの食事が必要になる現場で導入されています。導入病院も多く、実績のある調理法です。
食材をまとめて購入し、一度に調理して保存し、必要なときに加熱して提供するスタイルです。食材をまとめ買いできるためコストを削減できるほか、調理から提供までのプロセスを簡略化できるメリットもあります。
また、クックチルと並びクックフリーズも人気のある調理システムです。クックフリーズは、急速冷却ではなく、急速冷凍を行うため、クックチルよりも温度管理がしやすいという利点があります。
ニュークックチル
クックチルを、より高度なシステムに昇華させたのがニュークックチルです。こちらも、介護や医療の現場でよく採用されており、導入病院も少なくありません。
クックチルとの違いは、急速冷却した料理を器に盛り付けた状態で保存する点です。料理を器へ盛り付け、トレーにのせた状態で保存するため、加熱すればすぐに提供できます。
ニュークックチルに注目
病院によって導入している調理法は異なりますが、近年注目を集めているのがニュークックチルです。クックチルの進化版ともいえる調理法で、クックチル以上のメリットがあることから多くの導入病院があります。
これまで、クックサーブやクックチルを導入していた病院が、ニュークックチルに乗り換えたケースも少なくありません。それだけ、ニュークックチルには素晴らしいメリットがあると捉えている医療機関が多いのです。
クックフリーズとニュークックチルはどちらがいい?
多くの場所で導入されているニュークックチルとクックフリーズ。これらはどのようなメリットがあるのでしょうか。また、ニュークックチルとクックフリーズはどちらの方が良いのでしょうか。
食の安全の確保が可能
ニュークックチルでは、調理した料理を急速冷却(90分以内-3度)して保存します。それに対してクックフリーズは、更に早い速度で低い温度にするため、保存期間は食材によりますが1カ月程度は充分保存ができます。急速冷却によって、細菌の繁殖を防げるため、食中毒の発生リスクを下げられます。
ニュークックチルの場合は、チルドされたままの料理を盛り付けるため、クックチル以上に細菌の付着や繁殖を防ぎやすいメリットがあります。再加熱時にも人の手が触れることがないため、より食の安全性を高められるのです。デメリットは、個別に包装して保存するのでその作業のオペレーションに時間をとられることと包材費用が発生する点です。
一方、クックフリーズは、予め5人前や10人前の調理済みの食品を真空包装して急速冷凍保存するため、提供食数に合わせて再加熱提供が可能になるので調理保存までの工程が短縮できることと保存期間の長さが最大のメリットとなります。
業務効率化が可能
ニュークックチルは調理して保存し、盛り付けておけばあとは再加熱して配膳するだけであるため、業務の簡略化や効率化が可能です。マニュアルさえ完備しておけば、新人スタッフでも問題なく対応できます。
再加熱カートで保存されている料理をそのまま加熱し、運搬できることも大きなメリットです。カートを押しながら各病室を回って食事を届けられるため、今まで以上に効率的な配膳ができます。
美味しい食事を提供できる
病院食はまずい、とはよく言われたものですが、近年では美味しい食事を提供しようとする病院も増えてきました。中には、病院食が美味しいことをアピールしているような医療機関もあるくらいです。
クックフリーズとニュークックチルは、さまざまな料理に対応できる調理法のため、提供できる食事の幅も広がります。クックフリーズでは急速冷凍、ニュークックチルでは急速冷却によって食材の旨味や食感なども閉じ込められるため、美味しい食事が提供できます。
再加熱から配膳までの時間が短いため、細菌の繁殖リスクを軽減できるほか、温かい料理を患者さんにお届できるメリットもあります。
適したシステムの導入をしよう
クックフリーズ、ニュークックチルは、それぞれ特徴があります。ニュークックは、予め盛り付けが可能ですが、食品の保存期間はクックフリーズの方が上です。また、クックフリーズは、クックチル、ニュークックチルと比べて温度管理の手間がかかりにくいことも挙げられます。
利用する店舗、または施設によって適したシステムを検討する必要がありますが、クックチルとクックフリーズと併用し、両方のメリットを活かすといったケースも多いです。
まとめ
病院で提供する食事は、安全であることが第一です。そのうえで、患者さんの満足度を高められるような、美味しい食事を提供しなくてはなりません。クックチル、クックフリーズ、ニュークックチルならそれが可能になるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。導入病院の数は年々増加している傾向があるため、今後ますます注目を集めると考えられます。