医療や介護施設、宿泊施設などで導入されることの多い新たな調理システム。クックチルが有名ですが、従来からあるクックサーブといったい何が異なるのでしょうか。ここでは、クックサーブとクックチル、双方のメリットとデメリットについてまとめました。
クックサーブとは
従来から行われてきた調理法です。料理を提供するタイミングに合わせて調理を行う方法で、現在でもクックサーブを採用しているところは多いと思われます。まずは、クックサーブのメリットとデメリットを詳しく知りましょう。
クックサーブのメリット
調理をしてすぐに提供する方式のため、できたての料理を味わってもらえるのが最大のメリットです。料理はできたてがもっとも美味しいため、顧客満足度の向上も期待できます。
その都度調理を行うため、提供する人に合わせて細かく料理をカスタマイズしやすいのも特徴といえるでしょう。たとえば、Aさんには塩分を控えめにした料理を提供し、Bさんには少し量を多くするといったことが可能です。
作り手によって個性を演出しやすいのも特徴です。調味料の分量や、調理のプロセスをその都度変更できるため、個性的な料理の提供ができます。システム化された大量調理では、こうしたことは難しいでしょう。
クックサーブのデメリット
味にばらつきがでやすいのがデメリットです。毎回同じスタッフが調理を行うのならまだしも、そうでない場合には特にばらつきが出やすくなります。昨日は味が薄かったけど今日は濃すぎる、といったことが起きるかもしれません。
また、お昼や夕方など、特定の時間帯に忙しくなりやすく、多くの人員が必要となるのもデメリットと言えるでしょう。そのため、特定の時間だけ人を増やす必要があり、バイトやパートのスタッフなどで賄わなければならないこともあります。
また、できあがった料理をすぐに提供できない場合、細菌が繁殖してしまう恐れもあります。
クックチルとは
あらかじめ大量に調理した料理を、急速冷却して保管し、提供するタイミングで再加熱を行う調理法です。新しい調理法として注目を集め、現在では医療や介護、宿泊業界などさまざまな場所で導入されています。
クックチルのメリット
できあがった料理をすぐに急速冷却するため、食の安全性を高めやすいのがメリットです。細菌が繁殖しやすい温度帯をスピーディにクリアして冷却するため、食中毒の発生リスクを引き下げられます。
また、通常できあがった料理は長く保存できませんが、クックチルなら最大5日ほど保存が可能です。つまり、あらかじめ大量に作っておけば、4~5日は新たに調理をせずに済みます。提供するときも、再加熱して盛り付けるだけであるため、計画調が図れるのです。
未経験の新人スタッフが入ったとき、一から調理や段取りを教えるのは苦労しますが、クックチルなら難しくありません。専門的な作業はほとんどなく、再加熱して盛り付けるだけだからです。
クックチルのデメリット
クックチルを導入するには、専用の機器を購入しなくてはなりません。容量の大きな機器を導入する場合、設置するためのプレハブ冷蔵庫や冷凍庫のスペースも用意しなくてはなりません。クックチルで急速冷却したものをプレハブ冷凍庫で完全凍結させるには、冷却後の食品を保存するスペースも新たに設ける必要があります。
ニュークックチル・クックフリーズも選択肢に
ニュークックチルは、クックチルがさらに進化したシステムとの認識で問題ありません。最大の特徴は、完成した料理をあらかじめ器に盛り付け、その状態で急速冷却、保存することです。
提供するときは、トレーごと加熱するだけのため、スピーディに提供できます。調理から盛り付けまでをシステム化することで、更なる業務効率化が可能となるのです。
クックフリーズは、この業務効率化に加えて別のメリットがあります。それは、食料品の保存期間がどのシステムよりも長いこと。食材にもよりますが、一番長くて8週間ほどです。ここまで長い期間保管ができる理由は、クックフリーズは冷凍スピードの速さによるものです。
一般的な冷凍の場合は、解凍した際に肉や魚から血合いやドリップがでてしまうことや、味の低下が著しいですが、クックフリーズなら、急速冷凍によって品質を保つことができます。
クックチル、ニュークックチルよりも食材が長持ちする上に美味しい食事を提供できることがクックフリーズの魅力です。
まとめ
クックサーブとクックチル、どちらにもメリットがあり、デメリットもあります。どちらがより優れている、といった話ではないため、目的にマッチしたシステムを導入しなくてはなりません。双方のメリットとデメリットを把握したうえで判断しましょう。ここでご紹介した、ニュークックチル、そして、メリットが多いクックフリーズもぜひ選択肢に加えてください。