この記事でわかること
共働き世帯がほとんどの現代では、保育園が災害や感染症の流行などで機能しなくなると子供を預けられず、就労に影響が出ます。また、保護者は現場で実務を担当することの多い世代にあたるため、職場での影響も大きくなります。ここでは社会に欠かせない保育園で行うべきBCP対策を紹介します。
災害における保育園のBCP対策
自然災害や感染症の流行などが起きたとき、園児やスタッフの命を最優先にしつつ、利用者やその家族の状況を踏まえて保育所を開園します。そのときBCP対策の有無により、適切な対応の差が出てくるのです。
安全確保の対策
保育施設が事業継続するには、緊急の災害や事件・事故が発生したときに園児と職員の安全確保が不可欠です。しっかりとBCP対策がとってあれば、例えば災害時には危険をともないつつ避難所へ移動するよりも保育園内で待機できる可能性があります。
しかしあらゆる緊急事態全てに対応するには限界があります。消防法上の義務にもなっている地震と火災への備えをまずは優先することです。
災害時の備蓄の確保
大規模な災害になるほど、ふだんは簡単に入手できる物資も手に入りにくくなります。そのため保育園では災害用の備蓄品を揃えて保管しておくことも重要です。
ですが多くの園児を抱える保育園ほど備蓄の量は膨大になるため、保管場所の確保には頭を悩ませます。その場合、園と保護者で備蓄を分担する方法もあり、自施設で対応可能な方法を選ぶと良いです。
また都心のような公共交通機関の利用がメインのエリアでは、災害時の保護者のお迎えまで数日かかった例があることから、備蓄は最大3日間の準備が必要と言われています。
職員の対応に関する対策
保育園で働く職員は、子どもの発熱やケガなど日常的に起きやすい事件や事故について高い対応力を持っています。しかし災害など緊急的なことは低頻度であるため、すぐに対応できるスタッフばかりとは限りません。
その場合、保育園側で一定の方針を決めて緊急時の対応を統一すると職員は動きやすくなります。マニュアル化して職員に示しておくと分かりやすくおすすめです。
既に多くの保育園で一定の頻度で避難訓練を行っており、あらゆる災害や事件を想定した対応の訓練は他業種よりも徹底されています。しかし停電や断水・ガスが止まった・職員が出勤できないなどの対策はひとつの園だけでは取りづらく、近隣の保育所と協力し合える体制づくりが必要です。
安否確認サービスの利用
保育園に在籍する園児やスタッフの数が多いほど、手動での安否確認は難しくなり、系列の園全てを確認するには時間がかかります。その場合に便利な方法が安否確認システムの利用で、日常的に確認を続けることで非常事態に連携しやすくします。
ただ返信してもらうだけでなく、返信のない人などには部署のリーダーへ通達し返信するよう依頼するなど、いざという時に備えられるツールにすると良いです。
保育園再開後の運営方法
保護者の勤務先によって、たとえば電力不足による休日シフトに対応するなど保育園の運営日が変更になるケースもあります。保育園は企業や自治体の活動を継続するにあたり欠かせない存在であるため、災害などの後もできるだけ早い復旧が求められます。
感染症の流行に対するBCP対策
感染症の流行により保育園を休園しなくてはならない場合がありますが、そのときにもBCP対策を策定しているとスムーズな対応が叶います。
健康管理を徹底
自然災害へのBCP対策はとっていても感染症の世界的な流行まで予想して策定している保育園は多くありません。そのため改めて感染症へのBCP対策をつくり、今後も保育園事業の継続を可能としていきましょう。
そのポイントとして健康管理の徹底を最重要事項にし、感染症疑いのある人を早い段階で把握します。具体的には厚生労働省が定めた基準を元に、職員だけでなく園児やその保護者にも検温や体調チェックを行う方法です。
少しでも体調が悪ければ休んでもらい、例えば熱が出た場合は2週間登園できないなど細かな決まりを徹底しましょう。その他手洗いや消毒もしっかりと行います。
登園自粛中の対応
保育園を休んでいる間にはオンラインでふだん取り組む内容を配信する方法もあります。そうすることで、自宅に居ながら保育園で過ごすように生活リズムを整えやすくなるはずです。
また保護者からの育児相談もオンラインで受けるようにしておくと、それまで保育園でできていたトイレトレーニングや食事などの不安をサポートできるため、安心と園に対する信頼が高まると見込めます。
まとめ
保育園に子供を預けて働く世代は企業で現場を支える重要な人材であるため、緊急時に保育園が機能せず子供が預けられないと就労ができず社会にも影響が出ます。そのため保育園は園児や職員の安全確保と事業の継続に、BCP対策が必要です。
企業や自治体などからも頼りにされている保育園は、自然災害だけでなく感染症の流行などにも配慮したBCP対策を策定し、実施に務めることです。