介護施設でクックチル・クックフリーズを導入するメリット・デメリットは?

24時間介護が受けられると人気の特別養護老人ホーム、特養。高齢化がますます進む日本において、ビジネスとして介護事業の開業を検討する方はどんどん増えています。介護事業の開業を考えている方の中には、クックチルやクックフリーズを導入するかどうかで迷っている方も少なくないでしょうが、まずはメリットやデメリットを理解しましょう。

介護施設がクックチル・クックフリーズを導入するメリット

クックチルとは、大量に調理した料理を急速冷却し、提供する前に再加熱を行う調理法です。クックフリーズは、急速冷却ではなく急速冷凍を行うため、クックチルよりも食品の長期保管ができるシステムです。

業務効率化ができる

クックチルなら、一度にたくさんの料理を作ることができ、なおかつ最大5日間の保存ができます。クックフリーズの場合は、最大2ヶ月ほど保存が可能。再加熱したあとは、器へ盛り付けて提供するだけであるため、業務の効率化が可能となるのです。一連の流れをマニュアル化できていれば、さらなる業務効率化が可能となるでしょう。

廃棄ロスが少なくなる

クックチルとクックフリーズでは、食材を一括で大量購入することがほとんどです。あらかじめ必要な分の食材を計算し、大量に購入するため、食材の廃棄ロスを少なくできる効果が期待できます。

また、一度に大量の食材を一括購入するため、原価率を低減できることと一日に多品種を調理することなく計画調理が可能になる効果も期待できるでしょう。一度にたくさん購入することを条件に、値引き交渉ができるため、トータルでの仕入れ価格を引き下げられるのです。

人的コストを削減できる

介護の施設でその都度調理を行うケースでは、熟練の調理スタッフも必要です。時間帯によっては、調理だけでなく盛り付けや配膳のスタッフも必要となるため、人的コストがかさみます。

クックチルやクックフリーズを導入すれば、少ない人数で調理から配膳まで可能です。大量に作って保存しておけば、あとは提供するタイミングで再加熱、盛り付けを行えばいいだけだからです。

スタッフによる味のばらつきもなくなり、常に美味しい食事を提供できるのもメリットといえるでしょう。

介護施設がクックチルを導入するデメリット

導入するメリットがたくさんあるのは事実ですが、いくつかデメリットがあるのも事実です。以下、介護施設がクックチルを導入するデメリットをまとめました。

初期費用の問題

クックチルを導入するには、専用の機器が必要です。スチームコンベクションやブラストチラーといった機器が必要ですが、小型の機種でも500万円は下りません。さらに、大型のものになれば2000万円を上回る機械も多いため、初期費用はそれなりにかかます。
クックフリーズの場合は、ベーシックモデルで400万円ほど、エントリーモデルの場合は1500万円程度が相場となっています。

ただし、どちらも費用対効果は高いため、5年、10年など長期間の使用を考えると回収することが可能です。

厨房の設計によっては、クックチルやクックフリーズの設置に向いていない可能性もあります。このようなケースでは、厨房の設計そのものを見直さなくてはならないかもしれません。そうなると、改修工事の必要性が出てくるため、導入を検討する際は要確認です。

スペースが必要

スチームコンベクションやブラストチラーといった専用機器は、それなりのサイズがあります。これらの機器を設置するには、ある程度のスペースが必要となるため、ない場合には新たに用意しなくてはなりません。

広さの限られた厨房で新たにスペースを確保するとなると大変です。このケースでも、厨房の設計そのものを見直す必要が出てくるかもしれません。冷却した料理を5日間分保存するための冷蔵庫も必要となるため、トータルでの厨房設計の見直しが求められます。

食材や料理によっては味を損ねる

味を損ねにくいのはクックチル、クックフリーズのデメリットは、すべての料理で味を損ねないわけではありません。急速に冷却、または冷凍し、再加熱するシステムのため、食材や料理によっては相性がよくないものもあるのです。

水分を多く含む食材やジャガイモなどはあまり相性がよくないといわれているため、注意が必要です。再加熱する際にクッキングシートを敷くやスティームコンベクションを利用するなど冷凍から解凍、提供までを考えてオペレーションを検討する必要があります。

ニュークックチルも検討しよう

特養の厨房でクックチルを導入するメリットはたくさんありますが、これを機会にクックフリーズにも目を向けてみましょう。クックフリーズは、クックチルの進化版ともいえるシステムです。

基本的な仕組みはクックチルとほぼ同じですが、緩慢冷凍でなく完全冷凍状態で保存するのが違いです。真空パックした料理をそのまま再加熱するため、よりシステマチックに料理の提供が可能となります。

クックチル以上の業務効率化が期待でき、安全性の向上も期待できるため、現在では多くの福祉施設や医療施設で採用されているのです。

クックフリーズの場合は、クックチルやニュークックチルよりも食品ロスを防ぐことができるため、どちらが適しているかは介護施設の規模や生産計画などで変わります。

まとめ

介護施設の運営で運営費の抑制開業を検討しているのなら、調理システムにも目を向けなくてはなりません。どの調理システムを選ぶかによって、トータルでのコストや利用者さんの満足度などが大きく変わってくるからです。クックチルやニュークックチル、クックフリーズなど、新しい調理法についても目を向けてみましょう。