急速冷凍の方法とは?急速冷凍機の種類や設置方法もご紹介

一般的な冷凍庫へそのまま食品を保存するよりも、急速冷凍機を使って保存した方が品質を維持できることを知っていますか。ここでは野菜などの素材から料理までを素早く冷凍する、液冷式急速冷凍(リキッドフリーザー)の方法を紹介します。

急速冷凍とは

急速冷凍との言葉を聞いて、普通の冷凍庫よりもスピーディーに凍らせるとイメージするのではないでしょうか。普通の冷凍と急速冷凍の違いを説明します。

一般的な冷凍は「緩慢冷凍」

冷凍庫へ食材や料理をそのまま入れて凍らせる方法は緩慢冷凍といい、その名のとおりゆっくりと時間をかけて芯まで凍ります。具体的な温度の下がり方を説明すると、まず2時間位かけて0℃まで下がりその後5時間かけて-20℃に到達します。

ちなみに水が凍る温度は0℃ですが、食品に含まれる水分が凍結する温度は-5~-1℃のため普通の冷凍庫では完全に凍るまでに長い時間が必要です。

ゆっくりでも凍れば良いと思いがちですが品質の低下はいかに早く-5~-1℃に下がるかがポイントで、緩慢冷凍では時間がかかるため細胞壁が破壊され質が落ちやすくなります。

液冷式急速冷凍は短時間で-20℃

急速冷凍の場合、常温から10分ほどで0℃に到達し、その後15分のうちに-10℃あたりまで下がります。-20℃になるのは急速冷凍させた1時間後と早く、スピーディーに理想的な冷凍保存温度に下がるのです。食材の大きさや形状にもよりますが液冷式急速冷凍機では、-35℃で冷凍を始めるので食材や料理を更に早く冷凍させることが可能となっています。

食品中の水分が凍る温度を素早く通過するため、氷の結晶が膨張して細胞を破ることを防ぎます。その結果鮮度や味、風味を凍らせたときのままで保存が可能です。

また、傷みの早い食品でも急速冷凍しておけば長い間鮮度を維持できるため、必要なときに必要なだけ使えて食品ロスの削減にも役立ちます。

急速冷凍機の種類

急速冷凍機はあらゆるタイプがあるため、扱う食材や現場の環境などに合う機材を導入しましょう。効率良く使えて品質も落ちない機材が見つかれば、売上アップや経費削減が叶うはずです。

エアブラスト冷凍機

非常に冷たい風を食品に吹き付けて冷凍する仕組みの冷凍機で、冷風の温度は-30~40℃です。エアブラストタイプの急速冷凍機は既に多数の企業が導入しており、ショックフリーザーやブラストチラーが有名です。

但し、風で冷やすので食材を間接的に冷やすので液冷式より時間がかかることと多少乾燥することは知っておかなければなりません。90度のサウナには、入れるが90度の浴槽には人は入れません。それと同じで液冷式は、直接液体が触れるので早く冷凍できるのです。

またエアブラストタイプの急速冷凍機の中には、できたての料理を予冷することなくそのまま冷却できる機械もあります。

液体急速凍結機

凍らせたい食品をブライン液と言うアルコール水溶液で満たした水槽に直接漬け込み冷凍する機械です。風を吹き付けるタイプと違い、食品の乾燥を防ぎ、熱伝導率が高い性質を持つ液体を使うため、冷却スピードが速くすぐに凍ります。

急速冷凍機を設置するには

急速冷凍機の購入を検討するとまず価格を見る人が多いでしょう。高額な製品が多いため購入を迷うかもしれません。高価ですがその効果は、仕入れ削減や廃棄ロスの削減、新たな商品の提供とそれほど高いとも言えない程、効果が得られる機械です。仕入が安価なときに大量購買してもロスが出ない、調理済みの保存で無駄な残業がなくなるなど上手な導入方法や利用方法を検討しておくことがポイントとなります。
また、設置の際は、床の耐荷重や搬入路の確認なども必要となり、確保できない場合は床補強や開口部の拡張を要することもあるので業者に確認してもらいましょう。

長年使えてコスパが良い

急速冷凍機の大きさにもよりますが、数百万円かかると知ればまとまった出費は避けたいと思うはずです。ですが急速冷凍機は10年以上使う機械で、簡単に計算すると1日あたり数千円程度の出費です。

急速冷凍機の導入により売上がアップすれば十分補える金額ではないでしょうか。実際たくさんの企業が急速冷凍機を使い、売上向上や経費削減に成功しています。企業にとっての投資の費用対効果とは、何でしょうか?急速冷凍機は、「冷凍させる」能力こそが費用対効果です。冷凍のスピードが効率となるので1時間で100kgのものと1時間で200kgの能力の冷凍機で倍の価格差があるか?がポイントです。また、1時間能力でなく各企業共、終日運用することを想定して連続での処理能力やアイドルタイムの確認は、比較する場合の重要な点となります。

店舗に合ったサイズを選ぶ

サイズもさまざまなため、店舗のどこに置くかを決めてだいたいの大きさを決めましょう。専門業者に相談すると、条件に合った製品の提案を受けられます。カタログを取り寄せてじっくり検討してから相談する方法もあります。

サイズが合わなければ調理場が狭くなり、現場の作業工程に合っていなければ使われなくなってしまいます。しっかり現場で使われて作業効率をアップするためにも、最初の急速冷凍機選びは重要です。

導入に使える補助金

購入費用の半分~3分の2を国が負担する補助金を受けられれば、予算の半分以下で急速冷凍機が導入できます。
今なら「新型コロナウィルス対策」の特別枠もあります。

補助金の申請には必要書類の作成をしますが、種類が多く漏れがあると申請が進みません。それに基準に満たなければ不採択になるため、できればサポート業者に相談すると安心です。それに急速冷凍機の価格は公表されておらず、価格を詳しく知りたければ問い合わせが必要です。

または一括購入ではなく分割払い、リースなどで急速冷凍機を入れる方法もあり、導入したい店舗は複数の支払い方から選択できます。そのときの経営状況に応じた、支障のない範囲で払い方を決めると良いです。

まとめ

冷凍には緩慢冷凍と急速冷凍があり、前者は食品の品質が落ちやすいですが、後者はその時のおいしさを長く維持できます。これは急速冷凍が一気に凍らす技術だからで、冷風や不凍液を使った機械があります。

購入にはまとまった費用が必要ですが、コスパは良く10年以上使う機械で十分元は取れるでしょう。また補助金を上手に使って購入予算を下げる方法もおすすめです。