食品を扱う業種では、できるだけ長く新鮮さやおいしさを維持することが売上アップやロスの削減につながります。そのための設備として急速冷凍機が注目されており、導入する企業が増え、急速冷凍機市場は拡大しています。ここでは急速冷凍機が広がっている市場について解説します。
急速冷凍のメリット
食品を扱う業界で急速冷凍の導入が進む理由は以下のメリットがあるためです。それぞれのポイントごとに説明します。
冷凍焼けしにくい
家庭用冷凍庫で食品を冷凍したとき、解凍後に味が落ちたと感じた経験はないでしょうか。解凍後の味の劣化や変化は「冷凍焼け」が原因で起きる現象です。冷凍焼けとは、食品表面の空気が蒸発して霜に変化し、再びその霜が蒸発してまた結晶になることの繰り返しで起きます。
他にも、冷凍庫で保管していると空気中にある酸素の影響で、食べ物の脂質が酸化する油焼けにもなりやすいです。
これらはゆっくりと凍らせる冷凍庫で起きやすく、食品によって冷凍焼けや油焼けのしやすさは変わってきます。特にサバなど青物の魚は酸化しやすく味が落ちやすいです。その点急速冷凍では短時間で冷凍するため、水分を少なく抑えられるため冷凍焼けもしにくくなります。
細菌の増殖を防ぐ
食品を腐らせる原因は細菌や微生物の働きで、活発に活動すると細菌や微生物が増えて食べ物の成分を分解・発酵します。細菌などにより活動しやすい温度の差はありますが、低温に強い菌でも-10℃を下回るとほぼ活動しないと言われてます。
そして細菌などが利用する水分も冷凍すれば量が減るため、活動がしづらくなります。
急速冷凍機市場を占める業界とは?
ますます拡大する急速冷凍機市場ですが、どのような業界で広まりつつあるでしょうか。それは急速冷凍機の導入がおすすめの業界とも言えます。自社に似たタイプの業界で活用された例を参考にしてみましょう。
飲食店
旬の食材を扱う飲食店ほど安定した仕入額の維持が難しいです。しかし急速冷凍機を設置すると新鮮な状態で保存しやすく、時期ではない食材も旬のときに購入し正しく保管しておけば高い仕入額をかけずにすみます。
それからメニューが豊富な飲食店ほど必要な食材は多くなるものの、日によってどのメニューが売れるかは見込生産となります。すると保存方法が確立できていなければロスがかさみ、利益に影響が出やすくなります。
その点急速冷凍しておけば長期間の保存に耐えられるため、いつも数多くの食材ストックが叶います。
持ち帰り用の食品・季節販売
生ケーキや和菓子など日持ちのしない食品を販売する店舗は、作り置きが難しく製造数の予測を失敗するとロスが増えてしまいます。また、クリスマスやお正月のおせち料理など季節で生産量が大きく変化して人材確保に悩まれる業種も効果は大きいと言えます。仕込みが開店時間前に集中しやすい店舗は、スタッフの確保が難しい場合もあります。
そこで急速冷凍機を導入すると、作り立ての製品をすぐに冷凍して保存できるため、ロス削減に役立ちます。開店前でなく、来客の少ない時間などを活用して仕込みをしておくこともでき、季節販売でも人件費削減にもつながるでしょう。
そのほか急速冷凍で日持ちが叶えば、製品を店頭販売だけでなく通信販売してより多くのエリアまで販路拡大が期待できます。
医療・介護・学校
一括で調理し施設などに運ぶ場合も、急速冷凍機を使うと味が落ちにくく、おいしい状態での提供が叶います。食事のおいしさは施設などの魅力につながり、利用者の満足度アップにも役立つはずです。
また給食調理場で施設内の食事を作っている場合も、仕込みを直前に行わず空いた時間を使って準備しておけます。
農業や漁業
その土地ならではの食材を新鮮なまま急速冷凍し遠方まで運べると、販路拡大につながります。なぜなら独自性の強い食材は例えば飲食店では宣伝に役立ち、通販で購入し気に入った消費者が継続して注文することも期待できるからです。契約販売に対応すれば市場の状況に左右されない売上が確保でき、事業の継続にも役立ちます。
特に漁業では急速冷凍すると寄生虫も死滅すると言われるため、安全性の高い食品の提供が叶います。
まとめ
食品を扱う業種では急速冷凍して少しでも長く食品の鮮度やおいしさをキープすることがおすすめです。鮮度の維持やコストの削減につながる急速冷凍機の導入を行う企業が増えているため、今後もさらに市場は拡大するでしょう。あらゆるタイプの急速冷凍機があるので、自社で扱う食材や料理に合ったものをじっくりと選んではいかがでしょうか。