テイクアウトの導入で注意したい責任の所在について


食品を持ち帰って食べると、食中毒のリスクがあります。万が一、食中毒が発生した場合は、誰に責任があるのか確認しておいてください。お店に責任がなくても、食中毒が発生した経緯は消えないため、食中毒対策も覚えておくことをおすすめします。

テイクアウトで食中毒の責任は誰にあるのか?

テイクアウト食品は、販売する時までしかお店が管理できません。持ち帰った食品は、お客様の管理にゆだねられてしまいます。万が一持ち帰った食品で食中毒が起きたら、誰の責任なのか覚えておきましょう。

賞味期限以内の食品

賞味期限以内のテイクアウト食品を食べて食中毒が起きたら、お店に責任があります。お店の調理法や、食材の管理方法が悪かったためです。他のお客様に提供した食品でも食中毒の恐れがあるため、保健所に届け出しなければなりません。

飲食店で食中毒の恐れが発生したら、保健所からの立ち入り検査があります。お店は検体を保管し、食中毒の原因となっているか調査してもらいましょう。調査内容により、お店は数日~1か月以内の処分が下る場合があります。

賞味期限切れの食品

消費期限切れのテイクアウト食品を食べて食中毒が起きたケースも、お店側の責任の場合があります。お店の調理や食品の管理が悪ければ、賞味期限切れであっても、お店側の責任です。同様に保健所に届け出て、調査を受けてください。

ただし、賞味期限から長い期間が経っている場合は、購入者の責任も考えられます。どのくらいの時間で食べたのか、詳しく聞いておきましょう。

保管状態が悪いケース

購入者の保管が悪かったケースでは、購入者の責任が考えられます。保管状態が悪いケースでも、同様に保健所の調査が必要です。

お店側が、正しく保管状態を伝えていたのか、商品に提示していたのかでも責任が変わってきます。冷蔵と記載があるにもかかわらず、購入者が常温で長時間保管した場合は、購入者の責任となる場合があります。

責任問題にならない対策方法

テイクアウト食品は、お店側の手を離れたからといって、責任が購入者に移るわけではありません。状況によってお店側の責任にもなるため、事前に対策しておきましょう。

レストランの食べ残しの持ち帰りを禁止

お店で提供されている料理を食べ残しても、持ち帰るのを禁止しましょう。もともと持ち帰り用に調理されておらず、短時間でも食中毒発生の恐れがあります。

どうしても許可する必要がある場合は、清潔な容器を提供してください。生ものや火の通りが不十分なものは、持ち帰らないよう伝えましょう。食べ残しを持ち帰るときは、お客様の責任で食べていただくよう伝えることが重要です。

食中毒を減らす対策をする

テイクアウト食品は、持ち帰りすぐに食べるとは限りません。食品が傷みにくい工夫をしておけば、食中毒リスクは軽減できます。

食品を容器に詰めるときは、冷めてから詰めるようにします。温かいまま提供する料理は、賞味期限に限らず早めに食べるよう伝えてください。また温かい食品と冷たい食品は、別々に包む必要があります。

料理を詰める際は、清潔なトングや手袋を使用してください。トングや手袋の使いまわしは避けましょう。調理場は清潔に保ち、ソースなどで汚れない対策が必要です。

汁気のある料理は、汁をよく切って容器に詰めます。

取り扱い注意を促す

持ち帰った食品を正しく保管してもらうよう、容器に注意事項を記載しましょう。暖かい場所での保管は、食品を傷める原因です。賞味期限内の食品でも、ニオイや味に不安を感じたら、食べないよう注意書きをしましょう。

わかりやすいよう容器にシールを貼る方法もあります。

注意書きと合わせて、お店側はテイクアウト食品を渡す際に、早めに食べるよう伝えてください。一言伝えるだけでも、食中毒予防になります。

テイクアウト食品を冷凍しない

テイクアウトできる食品は、あくまでもすぐに食べる前提です。お客様が冷凍してしまうと、正しく管理できないため注意を促しましょう。

また冷凍食品を販売する場合は、「食品の冷凍または冷蔵業」の許可が必要です。冷凍して保存期間を長くしたい場合は、別に許可を得てください。

食品を真空パックにして冷蔵で販売する場合も、別の許可が必要です。冷蔵や冷凍で食品を販売するときは、保健所に確認しましょう。

万が一のため保険に加入する

万全の体制で食品を販売しても、食中毒のリスクがあります。場合によっては膨大な損害賠償を負うこともあるため、万が一のことを考え保険に加入しましょう。飲食向けの保険に入ると、食中毒に対する補償が得られます。

まとめ

テイクアウトで食品を提供する場合は、食中毒のリスクを考慮しなければなりません。お店側の管理が徹底していても、お客様自身の取り扱いで食中毒が発生するケースもあります。店側ができること、お客様に守ってもらうことを確認し、食中毒リスクを減らしましょう。対応が不明なときは、保健所に相談することをおすすめします。