この記事でわかること
近年では、食の安全性を求める声が大きくなっています。自宅で自分のために調理して食べる料理はもちろん、飲食店や医療機関、介護施設などで提供される食事に関しても、食の安全性が求められているのは言うまでもありません。安全に食を楽しむには、素材のチョイスや調理過程、徹底した温度管理が重要です。
食の温度管理が重要な理由
温度管理が適切でないと、料理の味を損ねてしまう恐れがあります。そればかりか、食中毒が発生してしまう原因にもなりかねません。飲食店や医療機関、介護施設などで提供する場合厳重な注意が必要です。
味を損ねてしまう
できることなら、食事は美味しく味わいたいもの。食材や調理法などで味は大きく変わります。料理の温度も煮物などは、余熱の時間で味の浸透、美味しさに大きく関わります。
まったく同じ食材、調理法で完成した料理でも、温かいうちに提供されるものと冷めたものとでは、味わいが変わります。たとえば、温かい焼き魚と冷めたもの、どちらの方が美味しいと感じられるでしょうか。介護保険制度以前は、適温適時配食でそれなりの対価が施設も得られましたが現在の制度では、食の提供が運営にマイナスの影響を及ぼしている点も悩ましい問題です。
食中毒の発生リスク
適正な温度管理ができていない料理の場合、細菌を繁殖させてしまう恐れがあります。細菌は、10~60度の温度帯で繁殖しやすいといわれています。できあがった料理をすぐに提供するのならまだしも、時間をおいて提供する場合には細菌が繁殖してしまいます。
一度に大勢の人に料理を提供するようなケースでは、適切な温度管理が難しいこともあります。大量に調理したものを容器に盛り付ける手間があり、すべて完成してから配膳するとなると、そのあいだに細菌が繁殖してしまうリスクがあります。
社会的信用の低下
医療機関や介護施設などで食中毒が発生すると、社会的な信用が失墜してしまう恐れがあります。大事に至ることはなくても、食中毒が発生した事実があると、利用者は今後安心して食事ができません。
誰もがインターネットを利用する現代においては、こうしたうわさはすぐに広がってしまい、またたく間に経営が傾いてしまうかもしれません。
信用を築くのは長い時間がかかりますが、失ってしまうのは一瞬です。たった一度の食中毒で、何もかも失ってしまう恐れがあることは、食を扱うすべての方が覚えておかねばなりません。
クックチル・クックフリーズなら適正な温度で管理が可能
クックチルとクックフリーズは、比較的新しい調理法のひとつです。さまざまな医療機関や介護施設などで導入されており、適正な温度で食事の管理ができると評判です。ここでは、クックチルとクックフリーズの仕組みやメリットをお伝えしましょう。
料理を急速冷却
調理後30分以内に急速冷却を行うのがクックチルの特徴です。0~3度の温度帯で適切に管理し、提供する直前に再加熱を行います。
スピーディに料理を急速冷却させることで、細菌の繁殖を防げるのがメリットのひとつです。調理のマニュアル化もできるため、スタッフの技量に左右されず、常に美味しい食事を提供できるのもメリットです。
なお、急速冷却した料理は最大5日間ほどの保管が可能です。大量に作って保管しておけば、あとは再加熱して盛り付け、提供するだけなので効率的です。
クックフリーズも調理後30分以内に処理を行います。クックチルと違う点は完全冷凍であることと―35℃のブライン液に浸けて一気に冷凍するその速さが更なる効率化に役立ってます。食品のもちは最長8週間と、クックチルよりもかなり長い期間食品を保管しておくことができます。
業務効率化も可能
クックチルとクックフリーズを導入すれば、一度に大量の食材を購入できます。購入した食材を用いて一気に調理ができ、そのまま保存できるのでトータルでの業務効率化が可能になります。
こまめに調理をする必要がなくなるため、人員も少なくできます。廃棄ロスや原価率の引き下げなども可能になるため、多くの医療機関や介護施設などで導入されているのです。早朝出勤の仕込みや夕食後の下膳残業を大幅に減らせます。
注目を集めるニュークックチルとは
ニュークックチルは、クックチルをさらに進化させたシステムです。ニュークックチルの大きな特徴は、急速冷却した料理を器に盛り付け、その状態で管理することです。
チルド状態の食材を盛り付けるため衛生的で、料理の型崩れなどが起きにくいのも特徴といえるでしょう。器に盛り付けた状態で再加熱を行うため、提供までのスピードも速いです。
従来のクックチル以上に業務効率化が可能となり、顧客満足度も高められることから、ニュークックチルは注目を集めています。ただし、再加熱に必要な専用設備の設置が必要なので、広いスペースを持つ施設での導入が向いているでしょう。
同じく、業務効率が可能なクックフリーズは、クックチル・ニュークックチルほどの設備投資がいらないため、施設のスペースを有効的に使いたい場合におすすめです。
これらのシステムは、安全性も高く、コスト削減も期待できるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
温度管理が適切でない料理は、食中毒を引き起こすリスクがあります。せっかく作った料理の味も損ねてしまうため、適切な温度による管理が求められます。クックチルやニュークックチル、さらに保管期間が長いクックフリーズを導入すれば、こうした問題はすべて解決するかもしれません。この機会に検討してみましょう。