【検証実験】「へべすを凍らせたらどうなるの?」実験してみました


みなさんこんにちは、フリーズラボ(freeze-LaBo)です。
フリーズラボは、千葉県にある急速冷凍技術を用いた実験室で、「食と生活にイノベーションを起こすこと」をミッションとしています。

本記事をご覧の皆さまは「へべす」という果物をご存知でしょうか。
ミカン科の柑橘類で、原産地は日本の宮崎県日向市。味はスダチやカボスに似ていますが、酸味についてはそれらより柔らかく尖っておらず、穏やかな酸味の果実です。

 
 

今回はそんなへべすを使って、①冷凍無し、②急速冷凍、③緩慢冷凍の3つの条件で、色味の変化、糖度の変化を比較してみました。
暖かな地域の果物を冷凍すると、どのような状態になるのか。それとも変化は起きないのか。
フリーズラボの実験内容をぜひご覧ください。

 

まずは生のへべすを確認・計測


まずは生のへべすを使って、色味の確認と糖度の計測です。
色味については目視での判断になります。

写真の通り、一般的に流通しているへべすは濃い緑色をしています。
軽く押してみると、皮に張りがあるのがわかり見た目にも新鮮さが伝わってきました。

色味を確認した所で、糖度を計測します。
計測には、ブリックス計を使用しました。

冷凍無しの状態での糖度は、7.8%と計測できました。
これを基準値として、計測・比較していきます。

 

いざ、冷凍!


冷凍方法は2種類。液冷式急速冷凍機ナノフリーズを使って「急速冷凍」したものと、業務用の冷凍庫に入れて「緩慢冷凍」したものとで分けて実験します。

急速冷凍・緩慢冷凍共に、2週間冷凍庫保管した後、解凍して状態を確認することにしました。

 

急速冷凍したへべすを測定


2週間後、解凍して状態を確認してみました。
今回は流水解凍にて、水を当てながら解凍しました。
まずは、液冷式急速冷凍機ナノフリーズで急速冷凍したへべすです。
色味の違いから確認してみました。

冷凍前のものと比較すると、やや緑色が抜けたような印象を受けます。
ですが皮の張りも強く、冷凍前に近い印象です。

続いて糖度を測定しました。

糖度については、冷凍前とまったく同一の結果を得られました。
糖度に変化は見られなかったため、甘みについてはへべす本来のものを残しているようです。

 

緩慢冷凍の色味、その差は歴然! 


次に緩慢冷凍をしたへべすを解凍し、色味を確認しました。

その差は歴然!一目で色が抜けて劣化していることがわかります。
皮も張りが損なわれ、元気がない印象です。
それぞれのへべすを下記の通り並べてみました。

左から冷凍無し・急速冷凍・緩慢冷凍の順です。
冒頭にも述べました通り、へべすは宮崎県産まれ。
暖かい地域の果物故の変化なのか、緩慢冷凍では露骨にダメージがでていることがわかります。

そして糖度においても、違いが現れました。

糖度7.3%。
冷凍無しと急速冷凍が糖度7.8%だったのに対して、0.5%減少しています。
へべすの柔らかな酸味感には、糖分が影響していると考えますが、その糖分が減少してしまうとまた違った味わいとなり、へべすらしさが損なわれてしまう恐れがあると考えられます。

今回の結果として、色味・糖度ともに冷凍による変化が現れることがわかりました。

暖かい地域で産まれたへべすは、寒さによる影響を強く受ける、という印象をフリーズラボでは受けました。
緩慢冷凍をしたへべすは、明らかに色味が抜け、糖度も減少してしまいました。
一方、急速冷凍をしたへべすは、冷凍無しと同等とはいかない結果でしたが、色味の変化が緩やかで、糖度には変化がありませんでした。
寒さの影響を受けるとは言っても、その影響の現れ方は、冷凍速度の違いで左右されるようです。より高い品質で冷凍保存するという観点においては、急速冷凍が適していると思われます。
急速冷凍および解凍の工程において、さらなる実験と検証を重ねることで、冷凍無しに匹敵する品質の冷凍へべすを実現することも不可能ではないかもしれません。
フリーズラボでは今後も様々な実験を行い、急速冷凍の可能性を探っていきます。

 

本記事を最後までご覧いただきありがとうございます。
フリーズラボでは見学、試食、冷凍実験を随時受付中です。ご希望される方は下記フォームからお気軽にお申込ください。

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