料理人がフリーズラボを体験

【フリーズラボ】 「急速冷凍は新たな料理方法!」

今回のお客さまは、川﨑宗司さん。農園を営む一方で会員制の創作和食料理を提供する料理人です。

素晴らしいクオリティのお料理を、都内では考えられないお値段でいただくことができます。

看板メニューは、うなぎとおでん。その他、四季折々の旬の食材を多様な調理方法で提供されており、訪れる度に新しい美味しさに出会うことができます。

 

板場に立つ川﨑氏

「見た目にも美味しさが伝わる!」

うなぎは捌き、串打ち、焼きも全て自身で行う川﨑さん。味はもちろんのこと、盛り付けの美しさに心が奪われます。

おでんのお出汁は、「一番だし」としてコースメニューの中でも提供されている自信を持ったお出汁です。使われている具材は素材の存在感そのままに、ゴロッとしたニンジンやジャガイモなどが入っています。

身質を検証!うなぎの急速冷凍実験

今回は冷凍するタイミングによってうなぎの身質がどのように変化するかを検証しました。味ではなく身質の変化を検証するため、食感や身の状態が確認しやすい白焼きの状態での検証です。
実験は、下記の表に沿って実施しました。
サンプルとしてA~Dの4パターンを用意し、矢印の流れの工程で実験を行いました。

捌いて生で急速冷凍

興味深い身質の変化

白焼き前に急速冷凍をしたパターンCを解凍した際、興味深い変化が確認できました。ゴムのような弾力を持った身質に変化しており、食べられるか、少し不安な感触です。
パターンBでは白焼き前に急速冷凍をした点ではパターンCと同様ですが、活きたまま急速冷凍した点の違いによるものか、ゴムのような身質に変化することはなく、通常の調理手順を踏んだパターンDに近い身質でした。
急速冷凍による身質の変化を確認した後、いよいよ川﨑さんに白焼きにしていただきました。

白焼きにする

白焼き後のうなぎは、見た目には変化の区別ができません。

試食してみると、活きうなぎをそのまま急速冷凍したパターンBでは、皮周りの脂をしっかりと感じられます。
急速冷凍をせずに、通常の手順で調理したパターンDと判断がつかない程です。
この結果に川﨑さんも驚いていました。
捌き・焼きという加工の手間をなくし、活きうなぎそのままの状態で急速冷凍して流通できれば、より安価に消費者が購入することができ、うなぎがもっと身近なものになる可能性を川﨑さんは感じていました。

 

実験の続き

川﨑さんがお帰りになった後、各パターンの食感を計測してみることにしました。
主観的に食感の順番をつけることはできますが、感じ方は個人により異なるため、客観的な数値に落とし込み記録することにしました。

せん断試験

試験方法は、歯ごたえや歯切れの良さ、硬さを見るためにせん断試験にて行いました。
試食時には大きな差が感じられなかったパターンA~Cを通常調理のパターンDと比較してみることにしました。

試験結果

結果として一番硬かったのは、生を捌いて白焼きにして急速冷凍したパターンAでした。数値にして10ニュートン(1㎏)以上の試験力となりました。
対して、パターンBの活きうなぎをそのまま凍らせて解凍後に捌いて白焼きにしたものが一番柔らかい結果となり、パターンAと比較して約4ニュートン(400g)の違いがありました。
他のパターンC・Dは、僅差で、試験用にとった部位によって異なる程度の差でした。
主観的な評価でなんとなく感じていたものが、はっきりと数値化され、客観的な評価として記録することができました。

 

実験を終えて

今回の実験では、うなぎは活きたまま急速冷凍することによって身質が柔らかく変化した、という結果を得ることができました。
検証は必要ですが、うなぎの新たな料理方法として、急速冷凍が活用できるかもしれません。
それは、流通形態や消費者に提供できる価値の変化をも巻き起こす可能性があります。
冷凍した蒲焼は一般的に流通していますが、一尾まるごと冷凍されたうなぎは、見たことがありません。
加工の手間がかからないことで価格が抑えられ、消費者が手に取りやすくなります。
捌く・焼く等の工程は、手間がかかる見方がある一方、場合によっては消費者の体験価値として歓迎されるかもしれません。
いずれにせよ、急速冷凍はうなぎの新たな料理方法としての可能性を大きく秘めていると、今回の実験で感じることができました。
うなぎの手配から調理に至るまでご協力いただいた川﨑さん、どうもありがとうございました。

川﨑さんをインタビューさせていただいた際の動画も併せてご覧ください。

 

本記事を最後までご覧いただきありがとうございます。
フリーズラボでは見学、試食、冷凍実験を随時受付中です。ご希望される方は下記フォームからお気軽にお申込ください。

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