急速冷凍で生クリームを活用


みなさんこんにちは、フリーズラボ(freeze-LaBo)です。
フリーズラボは、千葉県にある急速冷凍技術を用いた実験室で、「食と生活にイノベーションを起こすこと」をミッションとしています。

今回は、冷凍した生クリームの活用についてご紹介します。

液体状(泡立てる前)の生クリームは、冷凍すると水分と脂肪分が分離してしまうため、解凍後は泡立てることができなくなってしまいます。また、生クリームを冷蔵保存した場合でも、長期間の保存が難しいため、取り扱うお店では、使用するタイミングや保存期間、使用量を日々考えながら、生クリームを調理に使用しています。
冷凍されたホイップ(泡立てた後の)クリームも販売されていますが、植物性のものが多く、動物性で高脂肪分のものはほとんどありません。
特に洋菓子やフレンチのお店では、脂肪分45%等の濃厚な生クリームの使用が欠かせません。

 

なぜ、分離してしまう?


では、そもそも、なぜ生クリームを冷凍すると分離してしまうのでしょうか。それは、生クリームに含まれる脂肪球(細かい脂肪の粒子)の働きによるものです。
液体の生クリームは、脂肪球が水分の中に分散している状態で、泡立てることで脂肪球同士が結びつき、ホイップ状となります。
しかし、泡立てる前の生クリームを冷凍してしまうと、生クリームに含まれる水分が氷に結晶化し、その際に脂肪球の膜を壊してしまうため、泡立てることが出来なくなってしまいます。脂肪球の膜が壊れることで水分と脂肪球が分離し、泡立てても空気を取り込んで脂肪球同士が結びつくことが出来なくなってしまうと、一般的に言われています。

急速冷凍機の進化で、冷凍後も使用可能に


これまで冷凍することができなかった液体の生クリームですが、急速冷凍機の進化により、冷凍が可能になりました。急速冷凍機を使用すると、生クリームの水分と脂肪分が分離せず、脂肪球をたもてるので冷凍後でも調理に使用することができます。
これにより、生クリームを使用するベシャメルソースなどの、風味とコクを重要視し、仕込みに手間と時間がかかるものの保存が効くようになります。
保存が効くことで、手間がかかる材料をランチタイムやディナーの時間帯に合わせて調理する必要がなくなり、アイドルタイムに大量の材料を作り置きし、使う分量に小分けをして日々使用することが可能になります。
ベシャメルソースは料理のベースであり、サバイヨンソースなど他のソースに展開されることも多いので、冷凍で保存をしておくと非常に重宝します。解凍後は、牛乳やブイヨンなどで調整して利用することができます。
また、ホイップして余ったものを小分けで冷凍し、解凍後に使用する方法などは耳にしますが、冷凍機の進化でホイップ前の生クリームをそのまま急速冷凍し、解凍後にホイップできることもフードロス削減の観点でメリットと言えます。

 

ベースのみでなく完全調理品も急速冷凍


日持ちしないケーキなどに生クリームを使用する場合は、1日で使い切ることとなりますが、ソースなど料理のベースとして使用する場合は、料理を完成させるための材料の一つとなります。
時間のかかる材料を事前に大量調理できることで、アイドルタイムを活用した効率的なオペレーションの構築が可能になり、新しい時間を生み出すこともできます。
また、料理のベースだけに留まることなく、9割完成された状態(盛り付けのみを残しているなど)の完成品に近い料理を、急速冷凍して保存することが可能です。
これにより、ECサイト販売や業務用販売などの新たな市場に流通させることが可能になります。

上写真は、ベシャメルベースのシーフードグラタンを急速冷凍したものです。生クリームベースのサバイヨンソースと解凍後に合わせて加熱し、最後にサバイヨンソースへバーナーで焼き目を付ければそのまま提供できます。

 

働き方を変える


食料や半調理品の保存が可能になることで、労働環境を大きく変えることができます。
アイドルタイムのシフトを減らして人件費を抑えるのは、経営視点で求められる話ですが、一方で、雇用を安定化させ、守っていく観点ではいかがでしょうか?経営視点での判断としては間違っていませんが、パートやアルバイトなどの雇用形態で働く側からすると、押し付けられたシフトになってしまいます。
アイドルタイムに大量調理を行い、急速冷凍によって保存することで、アイドルタイムを有効活用でき、オペレーションの平準化が可能になります。
小分けパッキングや冷凍作業、梱包、倉庫への入出荷などの作業を効率的にオペレーション化し、暇な時間を作らせないことも、働き方改革の一つと考えます。
コロナ渦でデリバリーやお取り寄せグルメが流行っている現在、ピンチをチャンスに変える切り札になれば幸いです。

 

掲載したグラタン写真の提供前の動画(30秒)はこちら

 

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