【急速冷凍VS緩慢冷凍】握り寿司の冷凍時間と品質を比べてみました!
みなさんこんにちは、フリーズラボ(freeze-LaBo)です。
フリーズラボは、千葉県にある急速冷凍技術を用いた実験室で、「食と生活にイノベーションを起こすこと」をミッションとしています。
今回の冷凍実験テーマは「握り寿司」。
本記事では、フリーズラボの急速冷凍機ナノフリーズで急速冷凍した場合と、業務用冷凍庫で緩慢冷凍をした場合の2種類の冷凍方法で、握り寿司の冷凍に要した時間や品質の違いを比較した際の様子をご紹介いたします。
▪握り寿司の実験開始!
実験に用意したのは3種類(マグロ、サーモン、タイ)の握り寿司。
急速冷凍用と緩慢冷凍用とに分けてパックし、冷凍していきます。
▪冷凍完了、要した時間の差は如何に?…
次のグラフをご覧ください。
急速冷凍では9分程度で-1℃から-5℃まで下降しました。
一方、緩慢冷凍では約90分の時間を要しました。
本実験では、握り寿司の芯温が、「最大氷結晶生成帯」と呼ばれる‐1℃から‐5℃まで低下する時間に着目しました。
最大氷結晶生成帯とは
食品細胞内に氷結晶が大きく生成されやすい温度帯のこと。
この温度帯に留まる時間が長いほど、大きな氷結晶が生成され細胞を傷つけ品質に影響を与え、
逆に短いほど小さな氷結晶となり品質が保たれます。
その差はおよそ10倍。
急速冷凍と緩慢冷凍とでは、要した時間に大きな差が発生していました。
急速冷凍が生み出すこの時間を活用することで、以下のようなメリットが考えられます。
【労働環境向上】
急速冷凍により冷凍業務の短縮ができ、残業削減など労働環境が向上。
【人手不足解消】
冷凍業務の短縮により生まれた時間を他の業務に当てることで、既存スタッフのオペレーションが改善され、人手不足が解消。
【売上アップ】
時間当たりの生産量を増やすことができるため、売上がアップ。
このように、インパクトのあるメリットがいくつも想定されます。
また、冷凍速度の差は品質にも影響を与えていました。
続きをご覧ください。
▪解凍後の見た目は…
見た目の変化が最も現れたのはマグロでした。
生・急速冷凍と比較して、全体的に黒っぽく変色しています。
サーモン、タイについては、見た目上の違いはほとんど確認できませんでした。
しかしながら次の食感測定試験では、はっきりと違いが現れました。
▪食感測定開始!
本実験では食感を数値化するテクスチャーアナライザーを使い、冷凍後の食感を測定しました。
ラボスタッフの官能テストによる主観評価ではなく、グラフと数値を用いて客観的に評価をいたしました。
▪マグロの食感試験結果
生・急速冷凍と比較して緩慢冷凍では黒っぽく変色したマグロは、食感についても変化が発生していました。
急速冷凍した方が生の食感より高いグラフとなっており、食感が保たれていることがわかります。
一方、緩慢冷凍では生と比べグラフの下降が見られました。
ゆっくりと冷凍されたことで肥大化した氷結晶が細胞を損傷し、水分が流出したことからハリを損ない、本来の食感から変化してしまったと推定されます。
▪サーモンの食感試験結果
生、急速冷凍、緩慢冷凍の順にグラフが下降しています。
緩慢冷凍と比較して、急速冷凍の方がより生に近い食感を保っていることがわかります。
マグロと同じく、緩慢冷凍では氷結晶が細胞を傷つけ水分が流出し、食感を損なってしまっているようです。
▪タイの食感試験結果
サーモンと同様に、生、急速冷凍、緩慢冷凍の順にグラフが下降しています。
特に緩慢冷凍では大きく数値が変化し、生の4分の1程度まで低下しています。
今回の実験の中では、生との食感変化が最も大きく現れた結果となりました。
水分の流出はもちろん、旨味や栄養素も損なわれていると考えられ、品質保持の観点においてはやはり緩慢冷凍は推奨できる方法ではありません。
▪実験を終えて
今回の実験では急速冷凍と緩慢冷凍2種類の方法で握り寿司を冷凍し、要する時間と品質について確認しました。
結果として、冷凍時間においてはおよそ10倍の違いが生まれ、品質においても変化が現れました。
フリーズラボの急速冷凍機をご活用いただくことで、時間当たりの冷凍生産量を増やすことができるため、売上アップや労働時間の削減などに寄与いたします。
また、これまで冷凍を諦めていた食材や商品も冷凍させ、新たな商品や販路を開発していくことも可能です。
本記事をご覧になりご興味をいただけた方は、下記フォームからお気軽にお問合せください。
フリーズラボお問合せ